もう何も突っ込まない ページ13
「おわっと!」
暫く、如月さんと本気の鬼ごっこをして、元から無い私の体力が零へと近付いてきた頃であった。
背後で男らしい太い悲鳴を上げ、如月さんが勢いよく水飛沫を辺りに散らして豪快に転んだ。
「如月さんもダサいじゃないですか。」
と鼻で笑いつつ、その場で尻餅を付いたままの彼に手を差し伸べる。その瞬間―――
「隙あり!」
「えっ? わっちょ、ちょっと!!」
悪戯ッ子の様な笑顔を浮かべた如月さんに思いっきり手を引っ張られ、そのまま彼に倒れ込む形で私も転ぶ。
彼の時と同様、しょっぱい水飛沫が辺りに飛び散り砂浜を濡らす。そして私も如月さんも海水によってべとべと。
「最悪だ……。」
ぼそりと呟き、閉じていた視界を開く。そして気付いた。
私は今、如月さんの上に乗っかり、彼に抱き止められている事に。
「アハハッ、ごめんA。大丈夫?」
如月さんの笑い声が耳元で聞こえてくる。流石はアイドルなだけあって、良い声をしているなと感心してしまった。
「ええ、まあ。如月さんは?」
「俺も大丈夫。ほら、俺って体丈夫だから。」
「ああ、それは何より。」
適当に返事をしつつ、彼の腕から退こうとした。しかし、それは出来なかった否、させてもらえなかったと言う方が正しいかもしれない。
私を抱き止めていてくれた如月さんの腕の力が妙に強く、その場から抜け出せれ無くなっていたのだ。
「あの如月さん、もう腕離して貰って大丈夫ですよ。」
「え、あ、ごめんごめんごめん! マジでごめん!」
ズザザザザッと言う効果音が付きそうな位、慌てて如月さんが私から離れていった。
如月さんの体温は妙に温かくて、気持ち良くて彼が離れたと同時に私は少しの肌寒さを感じた。
成る程、如月さんは子供体温なのか。と1人納得。
「如月さんって意外と子供体温なんですね。」
「そう言うAは超低体温。」
2人揃って自分達の体温が何れくらい高いのか、又は低いのかを言い合って、何だかそれが可笑しくて笑い合った。
「なんだか微笑ましいねェ、あの2人。普通、あの位の年の子は異性と抱き合ってる時点で、無駄に意識して照れちゃう筈なんだけど。」
「柏木の方はまだよく分からないが、恋は中身がまだまだ子供だからな。」
「アハハ、Aちゃんの方もまだまだ子供だからお互い様って事で!」
遠くの方から寿先輩と睦月さんのこんな会話が聞こえてきたが、もう何も突っ込まないで置いた。
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櫻餅(プロフ) - cocolove420さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが、頑張りたいと思います。色んなキャラと絡ませられる様に頑張ります。 (2017年10月27日 15時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
cocolove420(プロフ) - とても面白いとおもいます!これからも更新頑張ってください!ちなみにうたプリは藍、ツキウタは駆、恋、涙、B-PROJECTは竜持、BROTHERS CONFLICTは風斗と弥が好きです!なのでそのキャラをなるべく多く絡ませてほしいな!とおもいます! (2017年10月25日 22時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ひろさん» コメント有り難う御座います!この作品の夢主は自分も気に入っているので、そう言って頂けて大変嬉しいです。恋愛要素はこれから多く書いていく予定ですので、頑張っていきたいと思います。不定期ですが更新も頑張ります。 (2017年10月24日 17時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - ぁあああぁ夢主ちゃんが可愛い!!!!!夢主ちゃんがいろんな方々に取り合いされていちゃいちゃしているところが見たいっ← 更新頑張ってください!!!!! (2017年10月23日 17時) (レス) id: 20b3f29abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年10月7日 1時