そして事件は起こる ページ48
―――それは、私が憧れのプロセラの新曲を作って、幾日か経ったある日の事、事件は起こった。
今だにQUARTET NIGHTの皆さんとは上手く行かず。でも新曲を出さない訳にはいかないからと、没になった曲から一番マシなものを選んで貰い渋々ながら皆さんが歌い、なんとか新曲を発表できたものの売れ行きはイマイチ。
主に黒崎先輩と激しい口論を繰り返しながら、作曲活動をしていた私に嬉しい知らせが舞い降りた。
「けんけん、ごうちん!!」
何時もの様に、バイトに来て澄空さんのお手伝いをしていると、ダンスの休憩中、外の空気を吸ってくると出ていた阿修さんがレッスンルームの扉を勢いよく開け、携帯片手に入ってきたのである。
「何だよ阿修、騒々しい。」
金城さんが、聞いて聞いてとぴょんぴょん跳び跳ねる彼を心底鬱陶しそうに見る。
「さっき携帯のニュース見たら、今月の新曲ランキング、あのプロセラが堂々の1位だって!ほら、ごうちんやけんけんが最高に格好良いって絶賛してた曲だよ!!」
金城さんの痛い視線を受けるも、それを気にせず続けた阿修くんの言葉に私は一瞬、皆の飲み物を準備している手と息が止まった。
「Aちゃん?」
突然動きが止まった私を心配して、澄空さんが私の顔を覗き込んでくる。だが、今の私の耳は何も聞こえない。
「プロセラの新曲が、今月の新曲ランキング堂々の1位」その何気無いけれど、私にとっては大きな一言が頭の中をぐるぐるぐるぐると回っているから。
プロセラの新曲、それは私がこの前作った曲。その曲にプロセラの皆が息を吹き込んだ。そして今、それが何と新曲ランキングの1位を飾ったのである。しかも、あの気難しい金城さんや愛染さんも褒めていてくれたと聞き、更に私の心は舞い上がる。
私にとって、その事実がどれだけ嬉しいことか。
「あ、阿修さん。」
「なーに、Aちゃん?」
震える声で阿修さんの名を呼ぶ。
「なんか、声震えてないAちゃん?」
丁度 阿修くんの隣に居た王茶利さんが私の異変に気づく。
「その話…………本当?」
「え?ああ、ランキングの話?本当だよ!僕もこの曲聞いて、鳥肌立っちゃった!」
これが夢でないことを、心の中で強く願った。
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時