検索窓
今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:209,079 hit

状況 ページ13

「あー、つまんない!」

 私の再従兄弟にあたる14人の兄妹が住むマンション、「サンライズ・レジデンス」へと帰宅。高校に入ったと同時に此処へ居候させてもらっているのだ。
 
 5階のリビングへと足を運び、鞄をソファに放り投げて、自分も鞄と同じようにソファに寝転ぶ。

 澄空さんにも七海先輩にも、メイクを施さずに帰ってきてしまった。

 あんな天使と言っても過言ではない女性が、2人も居たと言うのに私は何も出来なかった。

それが只、悔しくてならない。

 明日こそは、澄空さんは兎も角として七海先輩だけでもメイクアップしたい。

 そんな小さくも私にとってはスケールの大きい目標を掲げ、だらしなくソファでTVを見る。

 今は午後9時、リビングには誰も居ない。

 お風呂かな、と考えつつボッチな時間を堪能していると―――

「あれ、A帰ってきてたのか! おかえりー!」

 銀髪の独特な髪と、目元の泣き黒子が特徴、五男、今をトキメク若手イケメン声優の椿君が御登場。

 一番五月蝿いのが来ちゃったよ。

 気に入った人物に必ず抱きつく癖があるのか、此方に向かって飛び付こうとしてきた彼を華麗に避ける。

「あ、Aお帰り。」

 避けたと同時に六男、椿君の双子の弟で此方も声優、梓君がやって来た。しかも、2人共風呂上がりで、熱気が漂ってくるのだ。

「A冷てーっ!」

「ぐえっ!」

 梓君が来て、気が緩んだ隙を突かれてしまった。

 思いっきり椿君に抱き締められる。力が強いから、絞め殺されるかと思ったではないか。

「相変わらずの低体温! 暑い時の風呂上がりはやっぱ、A抱きしめると冷える。」

 やめて、こっちは熱い。

 どうにか椿君から離れようと、身を捩るも如何せん、力が男女の大きな差で、彼の方が圧倒的に強い。だから、簡単に抜け出せないのだ。

 余りにも離れなかったら、鳩尾1発決めて逃げよう。

 そう思った瞬間―――

 ゴンッ

鈍い音と共に椿君の腕の力が緩み、見事脱出成功。

 見ると椿君は涙目で頭を押さえていて、梓君は爽やか且つ真っ黒な笑顔で拳を作っていた。

 嗚呼、殴られたのか。

 私はいち早く、事態の状況を察した。

5倍増し→←遠慮なく!



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
211人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。