2017年4月29日 中原中也誕生日記念特別篇 ページ13
「中也さんの誕生日、ですか?」
『そういえば、中也の誕生日……』此れが昼下がり、ポートマフィアの拠点にて紅葉の姐さんに捕まり、お茶会をしていたときにふと、彼女が溢した言葉である。
「嗚呼。」
「因みに、其れは何時ですか?」
「今日じゃ。」
「…………はい?!」
其の意外な一言に、私の思考回路は一時停止。
「おや、知らなかったのかえ?中也の誕生日は4月29日、詰まりは今日じゃ。」
「は、初耳です。」
そりゃあ、聞いたこともないし、興味も余り無いからね。そんな考えだから夫婦仲が深まらないのかもしれない。
「御主等の様に仲睦まじい夫婦でも、誕生日はあまり認識しておらんのかのう。まあ、夫婦の形は其々じゃ。中也も誕生日を一々気にする男では無い故、何も云っておらんのじゃろう。」
紅葉の姐さんの前では、二人して仲の好い夫婦ごっこをしている所為か、彼女の目には『仲睦まじく』写っているのだろう。
其れに関しては何も突っ込まないし、今は気にしない。今はそんな事よりも―――
「あの、誕生日って具体的にどうやって祝うもの何ですか?」
誕生日を日本の一般家庭ではどの様にして祝うのか非常に興味がある。
「何じゃ、知らんのかえ?」
姐さんはキョトン、とした不思議そうな表情を浮かべる。
「はい。生まれて此の方、誰の誕生日も祝った事が無くて。」
「まあ、育ちが育ちじゃから仕方が無いなぁ。…………そうじゃな、極一般的な家庭ではケーキを食べたり、誕生日の歌を歌ったりするものじゃな。ほれ。」
姐さんに其れに関する動画や写真を見せてもらったり、実際に梶井さんやエリス嬢を呼び、詳しく教えてもらった。
「ケーキなら作っても善いかも。」
ポートマフィアからの帰り道、姐さんが付き添いの黒福さんに頼んで出してもらった車の中で、一人、小さくそう呟いた。
エリス嬢に、誕生日会なるものを教えてもらったが、どうも子供っぽいと思い、中原さん本人にやるかやらないか考えていたのだ。だが、家で中々喋らない私がいきなりそんなクラッカーやら何やらやっても、ドン引きされるか怒られるだけだ。
然し、ケーキだけならば子供っぽくも無いし部屋も散らかることはない。
中原さんと交流するための善い機会かもしれないと、私は前で車を運転する黒服さんにスーパーに寄るよう頼んだ。
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座敷わらし(プロフ) - 夕霧さん» 有り難う御座います! (2017年7月25日 20時) (レス) id: 3af3fdf8cd (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - とても面白いですね! 更新楽しみにしています! (2017年7月23日 1時) (レス) id: fb8453ace7 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - きせつふう。さん» ありがとうございます!中々更新できていませんが、頑張ります! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 087f4a5487 (このIDを非表示/違反報告)
きせつふう。(プロフ) - 続き気になります.....!更新待ってます!とっても面白いので頑張って下さい! (2017年5月26日 20時) (レス) id: 1841832f9e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 椿さん» 有り難う御座います! (2017年5月12日 19時) (レス) id: e75982502b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年4月20日 18時