【氷室辰也】Snowdrop

ミックスベリー ページ19

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『ふんふ〜ん、ふふふ……』






「ご機嫌ですね？」






『うん、だって猫と遊べた〜！』






あのあと、ネコジャラシを借りて遊んだ。
小さな猫が戯れている姿は見ていて楽しい






「可愛かったですね、また行きたいです。
……A先輩、クレープ食べません？」






辰也くんが指差す先には移動するクレープ屋さん。
甘い匂いがすると思ったらクレープだったんだ






『うん、食べる。何にしようかなぁ』









メニューを見ると、1番下には




【ミックスベリー】




という何とも興味をひく品物が。









『私、これにしようかな……』






そう言うと、辰也くんは少し考えてから「僕が買ってきますね」とクレープを頼みに行ってくれた。







ただ待ってるだけなのも味気ないと思い、
自販機でジュースを買ってからベンチに座る。






「お待たせしました。はい、A先輩」






辰也くんの手から渡されたのは普通の【ストロベリー】






『あれ……、辰也くん。私が頼んだのミックスベリー……』






私が遠慮がちに言うと、笑顔で肯定する辰也くん。





よくわからない





「間違ってませんよ？ほら。」





辰也くんの手には【ブルーベリー】味のクレープ。



ますます分からない





辰也くんは

「………手強い」

と呟いて私の方に向き直る。





「A先輩、そのクレープを一口食べてください」





言われたまま、ストロベリーを一口食べる。
甘い味と香りが広がってとても美味しい





「その次にこれを。」





そう言って口の前に出されたものを本能的に食べる。
……食べてから気づいた






『え、あれ………え？』





「ほら、【ミックスベリー】味、でしょう？」







悪戯に笑う辰也くんにつられて笑う。






でもこれって……








『間接………キス？』









私の呟きが聞こえなかったのか、いつも通りのポーカーフェイスでクレープを食べる辰也くん。









初めての間接キスは、甘いベリーの味がした。








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