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まだお昼時ではないので、日が少し東に傾いていた。
ギルドまでとはいかないが、マグノリアの街もまた騒がしい。
賑やかな人々。溢れる活気は、自分の気持ちも明るくしてくれるものだ。
その街の中、引きずられる姿勢から解放されたあたしは、エルザと一緒にそのレストランへと向かっていた。
「で、そのレストランって、どういうところなの?」
「ああ、"Rest of the butterfly"と言うお店で、なんでも東洋の辺りの料理を出すらしくてな、それが大層美味なんだそうだ。
今日は仕事も無かったから、暇そうにしているルーシィを昼食にでもと誘ったんだ」
ちゃんとした説明をして欲しかった気がする。
「と言うか暇そうって…
まあでも、"Rest of the butterfly"…”蝶の休息”ね…
気になるわね。東洋かぁ…どんな料理なんだろう?」
「なんでも”シラタマアンミツ”なるデザートが評判だそうだ」
「…エルザ、昼食よりはそのデザートが目当てでしょ」
図星なのか、「う…」と曖昧な返事を返すエルザ。
「ま、まあ、とりあえず行ってみてからのお楽しみという奴だ!」
「はいはい」
しばらく歩いていると、前から見覚えのある人物が歩いて来ていた。
「あっ、グレイじゃない!どうしたの?」
「おお、ルーシィとエルザじゃねぇか」
グレイは、ギルドに行く途中だったのであろう足を止めた。
「グレイ一人なの?」
「まあな…あれ?」
グレイが、びっくりした顔でエルザを見つめた。
「む、どうした?私の顔に何か付いているのか?」
「いや、そういうわけじゃないんだが…」
言葉を濁すグレイ。
「どうしたのよ?」
「さっき通りかかった店で、エルザを見かけたんだが…」
「「?」」
あたしとエルザは同時に首を傾げた。
「でも、エルザはさっきからずっとあたしと一緒にいたわよ?」
「でも、あっちの店でも確かにオレはエルザを見て、ウエイトレスの仕事でもやってんだと思ってたんだが…ん?どういうことだ?」
グレイも訳がわからなくなって来たようで、ますます首を傾げている。
そこに、エルザが言った。
「なら、行ってみれば良いんじゃないか?私がいるという、その店に」
「そうね!実際に行ってみれば良いのよ!」
「そうだな、オレも急ぐ用事じゃねぇし、一緒に行くぜ」
「で、グレイ。どこのお店で見かけたの?」
あたしはグレイに尋ねた。
「えっと確か…"Rest of the butterfly"って店だ」
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作者名:れーな | 作成日時:2014年7月20日 23時