【IFルート】7話以降IF明日人さん (ページ3)

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氷浦達もあの日以来一星を観察していた
俺はと言うとあの日から一星とも灰崎とも口を聞いてない
パス練の時に声をかける程度だった
灰崎も灰崎で毎日どこかいらいらしているし、一星も誰とも関わる気がないらしい
(このまま、この戦いに参加していくのか…？
こんな気持ちのままで…？)
「おい、稲森。ボールちゃんと蹴れ」
「あ、はい…すみません…」
「…何考えてっか知らねーが、俺らにどうこうできる問題じゃねーだろ。それともいい子ちゃんはみんな仲良くサッカー出来なきゃ嫌か？」
俺は顔を上げた
不動さんは頭の後ろで手を組み横を向いた
態度は飄々としている

だが不動さんの目はギラギラと俺を見据えていた
判断を下すように

「俺は… この先こんな気持ちで世界と戦っていけるとは思えません。一星の件についてもこのままにしてたらみんな実力が出せないままだ… だから」
「だからみんな仲良しになろうってか？ハッ！泣かせるねぇ… あれか？つるんでないと気が済まない女子か？流石いい子ちゃんは言うことが違うな」
不動さんはもうこちらを見ていなかった

(俺は…俺はなにか返答を間違ったのだろうか…？)

不動さんを見る背を向けているため表情は分からない
今俺はなんて思われたんだろう

「稲森！！」
右側から声がした
目を向けるとボールが迫っていた

…
「おい！稲森！大丈夫か！」
「やめろ揺すんな、落ち着けって」
「…ｯ！元はと言えばてめぇが！」
「どうした！？何があった！」
騒動を聞きつけたキャプテンが走ってくる
俺はヒロトに言葉を言い損ねた
「ミスったボールが稲森の頭に直撃した」
「えっ!?昨日の今日で…」
「…とりあえず保健室へ運びましょう。つくしさん先いってベット整えてもらえる？」
「はい！」
「私は氷嚢を持ってくるのでどなたか保健室まで稲森君をお願いします！」
「あぁ…」

俺は稲森を背負って保健室へ向かう
意識のない人間の重さと来たら、途中で何度背負い直したことか

俺が声をかけてから恐らく避ける余地はあったはずだ
なのにこいつは…
いや、避けられなかったのかもしれねぇ…
昨日の俺が… …八つ当たりしたのをこいつなら気にしかねない
俺がああ言うのはいつもの事だ

だが… ったく、くそっ…
俺は自分が急に恥ずかしくなった
目が覚めたら謝るか…

俺はもう一度明日人を背負い直した