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女子マネが整えたベットに明日人を横たわらせる
「私達は監督とコーチに状態を話してきます、灰崎君は稲森君のそばにいてもらえる?」
「ああ」
そう言って2人は部屋を出た

俺の頭の中はは空っぽだった



壁の近くに椅子をずらし、背もたれのある状態にする
窓からは薄暗い空が見えた
(雨でも降りそうだな… 室内練習か…)
ぼうっと窓の外を見ていると、手前でうぅとくぐもった声がした



「…起きたのか?」
伺う様に声をかけるが返事はなかった

どうしたものかと目線を向ける
…明日人は汗をかいていた
表情は苦しそうで眉間にシワがよっている

(…当たりどころ悪かったとかじゃねーよな…)
周囲を見回すが特に何も無い
今俺はこいつの汗を、タオルで拭ってやることも出来なかった

タオルを取りに行こうかと考えていると、
ふと声がした


「…い…ざき…… 」

弱々しい声だった
「…んだよ」
寝言だろうが知らねぇ
窓の方を向いて返事をする

「はい…ざき… 」
もう一度呼ばれる
「んだよ 明日人」
ぶっきらぼうに言ってやる
ほんとに寝言か?次言ったら叩き起してやる


「…灰崎……
ごめん…な…」
俺は咄嗟に稲森を見た
汗はもう引いていた

代わりに、こいつは 泣いていた
「ごめん… 灰崎…ごめん…」
明日人は…弱々しく何度もそう言った

(なんで…てめーが謝んだよ!!ちげぇ…! お前が謝る必要なんてねぇんだ!!)

思い切り胸ぐらを掴んで、そう言ってやりたかった
感情のままに 今のこの言い表せない思いをぶつけてやりたかった
だが、こいつの涙は俺にその行動をとらせてくれなかった

俺は椅子から立ち上がって
そのままベットに手を添えた
俺はもう いっぱいいっぱいだった
俺の声もいつもの様に出なくて、こいつと同じくらいになっていた

「…ちげぇ… ちげぇんだよ…」
添えた手はシーツを握り締めたまま
俺は首を横に振った


…結局俺はこの感情を
どこにも吐き出すことは出来なかった。



タオルを取りに行く為に、保健室を出ると
目の前の窓がすぐ目に入った


「…」
俺は窓に写った自分の顔を見て笑う
「…情けねぇ面…」

パタパタと水滴が打ち付ける

窓の外ではいつの間にか
雨が降っていた

5→←3



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設定タグ:稲森明日人 , オリオンの刻印 , IF   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:Rein | 作成日時:2018年11月19日 3時

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