検索窓
今日:38 hit、昨日:14 hit、合計:186,626 hit

Ki 10 ページ10

「あのさ・・」

収録終わり、藤ヶ谷を呼び止めると、怪訝そうな顔で此方を向いた

わかっている、いつものことだ

なのに、昨日のせいで、俺の心には、いとも簡単にその棘が突き刺さる




「・・・なに」

「あ・・ちょっと、」


他のメンバーも見ている場で、というのはなんとなく気まずくて、言葉を濁して藤ヶ谷を連れ出した

俺の雰囲気を察知してか、藤ヶ谷はなんとなく楽屋を出ていった
おそらく喫煙所へ行く振りをして、俺について来いということか

その後ろから、いつも見ている背中を追いかけた

藤ヶ谷の考えていることなんて、何一つだってわかりやしないのに
そういうところだけは妙にお互いの心を読んでしまう


読み通り喫煙所に足を踏み入れた藤ヶ谷のあとに続くと、ドアがぱたんと無機質にしまった





「・・・あのさ・・・昨日、」



そこまでいうと、藤ヶ谷の肩がぴくっと震えたのがわかった

昨日の今日だ、意識しないほうがおかしい

気まずくなって視線を逸らしたままで、俺はポケットから目的のものを取り出した



「これ・・落としてった・・だろ」


藤ヶ谷の目の前に、黒皮の財布を差し出した


「え・・?俺の財布・・?!」

「藤ヶ谷・・お前一日財布なくて気づかなかったの?」


藤ヶ谷は、今気づいたといわんばかりに目を丸くしていた

財布がなくて、今日出かけるときにあわてなかったのだろうか
そもそも、気づいていなかったのか

それはそれで、ちょっと抜けてるところがある藤ヶ谷らしいけど




「昨日は・・ごめん」


財布を手渡しながらそういうと、藤ヶ谷の眉がぴくっと動いた


「え・・」

「や・・すげー泥酔して・・はは、カッコわりぃとこ見せたな」

「・・・」


ごまかすようにそう言った

藤ヶ谷は、覚えてないのだろうか・・
もしかしたら、藤ヶ谷にとって、あんなことは酒の勢いで起きた事故で・・大したことじゃないのかもしれない

そう思うと、藤ヶ谷の前に立っている自分が一層惨めに思えてきた



「じゃ、呼び止めてごめんな」



それだけ言うと、俺は逃げるように藤ヶ谷の前から立ち去った

Ki 11→←Ki 9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (277 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1134人がお気に入り
設定タグ:キスマイ , 藤北 , 藤ヶ谷太輔北山宏光   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年1月7日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。