side S ページ23
「ニカ・・・」
俺が呼び掛けても、ニカはタクシーの中で、ずっと窓のほうを向いていた
だけどその背中には哀愁が漂っていて、俺は目を見なくても彼の気持ちが手に取るようにわかった
「ミツさ・・本当はつらいんだよね」
俺がそう呟くと、ニカの肩がぴくんと揺れた
少しだけ、そのうつろな目がこちらを向く
「千賀・・」
「ん?」
「お前なら・・・どうする?」
「俺達が、二人みたいな目にあってさ・・俺がぜーんぶ、なかったことになってたら」
「・・・」
「お前は、それで平気・・・?」
「・・ニカ」
目を伏せて、膝の上でぎゅっと拳を握った
その手のひらにじんわりと冷や汗をかいていた
ニカの気持ちが痛いほど伝わってきて、俺は泣きそうになった
だって…ミツのあの姿を見たのは、ニカなんだから
「俺は・・ミツみたいに強くなれないよ・・自分だけ、抱えてなんて・・無理かも」
「千賀・・」
「それ、普通だよ・・」
「そっか・・」
「なぁ、千賀・・もし、そんなことがあったら、ぶん殴ってでも思い出させて」
「・・・わかったよ」
「俺が、ガヤならそう思うと思う」
「・・・そうだね」
タクシーは、静かに走り続けていた
窓の外に、都会の街並みが喧騒と共に流れていく
俺達は、後部座席で無言のままずっと、ただお互いの肩から伝う体温を感じていた
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ピンクピーチ(プロフ) - あこさま!いつも温かいメッセージありがとうございます!励みにさせてもらってます!!もう少しで幸せな二人編に突入するので、もう少し頑張ります^_^ (2019年11月15日 15時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - こんにちは!更新されるたびに泣きながら読んでます。みんなの心の傷が癒えてふたりがしあわせな時間を早く過ごせることを願ってます。ピンクピーチさまもしんどい部分の更新大変だと思いますががんばってください!応援しております^^! (2019年11月15日 14時) (レス) id: c75777a11f (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みってぃーさん» はじめまして^_^日課にしていただけて大変光栄です!そして、温かいお言葉!こちらこそ泣きながら読ませていただきます!!これからも、更新励みますので、良ければ読んでやってください★ (2019年11月11日 18時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
みってぃー(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!毎日更新されているか確認するのが日課になってます。そして、更新された話をここ最近泣きながら読んでいます。作者様の作品はどれも心に刺さるものばかりで尊敬しています。大変だと思いますが更新頑張ってくださいね。 (2019年11月11日 17時) (レス) id: 4e432f1ab1 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - キスマイさん» ご愛読ありがとうございます!これからは、藤北以外のメンバーの心情も複雑に絡みながら展開していきます…また楽しんでいただけたら、嬉しいです^_^ (2019年10月27日 10時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月23日 15時