みんなの宝物 6 ページ31
智Side
翔「なんで急にうるさく言うようになったんだよ。
そんなにいっぺんにできるようにはならないだろ?
なにをそんなに焦ってるの?」
Aの焦り。
それは僕も感じてた。
一日でも早く
ゆいちゃんにいろいろなことを自立させようとしている。
僕はそんなに急ぐ必要はないと思うんだけどね。
智「理由もなくこんなことするわけないよね?
悩んでることがあるなら僕らに言ってよ。
このままじゃAもつら…」
「もー、うるさいって!! ほっといてよ!!」
あらら…今はもう何を言ってもダメみたい。
落ち着いてからじゃないと
話しできないね。
今のところはもう終わりにして
後でちゃんと話聞こう。
ちょっと休んできな?
そう言おうと口を開きかけた時
翔が床をバンッと叩いて怒鳴り声をあげた。
翔「ほっといてすむ問題じゃないだろ!!
みんな心配してるってことがわからないのか!!」
「じゃあ翔にぃに私の気持ちがわかるの!?
なんでもかんでも言えるわけないじゃん!!」
翔「だからってその態度はないだろ?
自分じゃどうしようもないなら
ちゃんと俺らに話しなさい!!」
「どうして翔にぃに言わなきゃいけないの?
何にも知らないくせに……もういい!!」
翔「A!!」
立ち上がった瞬間ポロっと涙を落としたAは
乱暴にドアを開けて2階へ上がってしまった。
それを見た翔は大きなため息をついて顔を両手で覆い
もうわかんねぇよ…って震える声をだした。
わかんないよね…僕もわからない。
Aの言い方からして
何かを抱え込んでるのは確かなんだろうけど、
今回はちょっと傷が深そうだ。
潤に淹れてもらったコーヒーを飲んで
落ち着いてきた翔は、
感情的になり過ぎた…
って言葉を残して出勤していった。
時計を見ると
僕らもそろそろ家を出なければいけない時間だ。
和「じゃあゆいちゃんは俺が連れてくよ。
熱上がってきたみたいだし」
熱の高いゆいちゃんを
今のAが看病することは無理だろう。
そう思って和が一緒に
小児科に連れて行くということになった。
なんとか話をつけてくれて
午前で上がれるようにしてもらったらしい。
これだけぐっすり眠ってたら
午前中くらいは寝ていてくれるだろうからね。
智「じゃあ和、よろしくね。
何かあったら、連絡ちょうだい」
診察室の空きベッドにそっと寝かせた
ゆいちゃんの髪を撫でて、
僕は外来の始まる診察室へと急いだ。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年6月29日 14時
