ガラガラ声 3 (和) ページ15
潤Side
智「夢を見たの?」
和「うん…」
智「怖い夢?」
和「ん…翔にぃがね…」
ピッタリとくっついてソファーに座る2人の会話を聞いていると、なんとなく翔にぃが嫌われている理由がわかってきた。
どうやら翔にぃに注射をされる夢を見てしまったらしい。
智にぃは優しく診察してくれていたというのに、翔にぃは酷いなぁ(笑)
智「そっか。でもさ、本当の翔にぃはとっても優しいでしょ?
えーっと…どこ行ったかなぁ…
あ、いたいた。見てよ、あんなところでいじけてる(笑)」
ほんとだ、部屋の端っこで膝を抱えてちょこんと座ってる。
背中を丸めてイジイジしている兄と、目の前に膝立ちになって頭がグラングランするほど肩を揺さぶっている弟。
脱力している翔にぃもそうだけど、「元気出してー!!」って声量も力加減も調節できない雅にぃがおかしくて仕方ない。
智「可哀想だから、こっちに呼んであげよっか」
和「い、けど…注射はしないよ?」
智「ふふ。わかってるよ。翔ー、おいでー」
智にぃに呼ばれて和にぃからも手招きしてもらった翔にぃは、面白いほどわかりやすく表情を変化させる。
「かーずっ」ってスキップしそうな勢いで近づいてきて、熱のせいで潤んだ目で見上げてくる弟の頭をなでなで。
医者としても優秀だし頼れる兄貴なのに、たまにこう子供っぽくなるから不思議だ。
そしてそのギャップが、俺のツボだったりする。
翔「何笑ってんだよ、潤」
潤「ふっ…ごめっ。面白くって」
翔「なんだよぉ…。いいよ、俺には和がいるから。な〜。
喉乾いてない? ジュース飲む?」
和「ん…飲みたい」
翔「ん、わかった。てか和、声枯れてるね。
喉痛い? あーんってしてみ?」
和「んー、翔にぃやだっ」
あーあー、また嫌われちゃった。
急に口開けろなんて言うから。
智「確かに少し声おかしいね。
僕になら見せてくれる? 痛くしないから。あーって」
まだ夢での出来事が影響しているのか。
智にぃが顔に触れても嫌がらないのに、またもや自分だけ拒否をされてしまった翔にぃはショックを受けてしまったようだ。
翔「雅紀…」
雅「ん?」
翔「お兄ちゃんは悲しいよ…」
雅「うん、大丈夫だよ翔にぃ。俺は翔にぃが一番好きだよ」
翔「まさき…なんて優しくて良い子なんだ」
雅「あひゃ。よしよし」
なんか男二人で抱き合ってるけど…
いいや、触れないでおいて俺は和にぃの飲み物を取りに行こう。
二人は気が済むまでラブラブしてていいからさ(笑)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2014年6月28日 23時
