9話 距離 ページ11
A「チアキ...!?」
私の顔面に相手の拳が当たる直前。
チアキが腕を掴んで防いでくれたらしい。
クラスメイト「ひっ...!」
クラスメイトはあからさまにチアキに怯えた。
失礼すぎない??
そんなにチアキって怖い?
チアキ「さっきから見てたけど、呆れるくらいに失礼なんだね。」
チアキの話し方は一見温厚だが、いつも一緒にいた私なら分かる。
相当、怒っている...!
クラスメイト「な、なんなのよ!もう!!」
焦ってその場から逃げ出すクラスメイト。
なんかもう、いかにも悪役な逃げ方で笑える。
チアキ「...A、大丈夫?」
...話しかけてくれた。
チアキから話しかけてくれたのはいつぶりだ?
とにかく、体感でいうと一年分くらい話してない気もする。
そんなわけはないけど。
それは置いといて、久しぶりのチアキの優しくて暖かい声に気が緩んだ。
そして、大粒の涙が私の目から零れた。
チアキ「えっ?!ちょ、どうしたの?!」
急に泣き始めた私に困惑を隠せていないチアキ。
チアキ「なんで、泣いてんの…?!そんなにさっきの人怖かった?!」
私もなんで泣いてるかわからない。
でも、クラスメイトに怯えて泣いているわけではないことは分かる。
A「ち、ちが、チアキが、話して、くれて…。」
泣きながら話すのは大変だ。
好きな人の前ですら、情けなくなってしまう。
A「嬉しかった、もう一生話せない、って思ってた、から。」
チアキ「…A。顔上げて。」
いつのまにか下を向いていた私にチアキが声をかける。
あぁ、ずっと聞きたかった声だ。
A、と自分の名前を呼ぶチアキの声は、本当にかっこいい。
声だけでご飯3杯いける。
くだらないことを考えながら顔を上げると、チアキがゆっくり抱きついてきた。
チアキ「ごめん、A。」
耳元で囁かれる。
私から、ゼロメートルの距離にいるチアキ。
いつもより近い距離に、思わずドキドキしてしまう。
チアキ「僕、Aの近くにいたでしょ。それだからAに友達が出来てなかった。」
チアキのせいで、友達が出来ていなかった…?
そんなはずがない。友達が出来ないのは私のせいだ。
違う、そうじゃない。そう反論しようとしたが、私が口を開く前にチアキが話し始めてしまった。
チアキ「Aも迷惑にしてるんじゃないかなって思ってた。だから、あまり関わらないようにしてた…。でも、それがAに寂しい思い、させちゃったみたいっしょ。」
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咲代(プロフ) - 名無しさん» いえいえ!大丈夫です!お気遣いありがとうございます〜! (2021年11月24日 20時) (レス) id: dcb9ce1573 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - なんか、今更ですけど、ご挨拶もなしに、いきなりすいません(汗) (2021年11月24日 15時) (レス) id: 4fca5b8289 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ありがとうございます! (2021年11月22日 17時) (レス) id: 4fca5b8289 (このIDを非表示/違反報告)
咲代(プロフ) - 名無しさん» リクエストありがとうございます!今書いてる番外編的なのが書き終わったらになるので、かなりお待たせしてしまうかもしれませんが、それでもよければ書かせていただきます! (2021年11月21日 18時) (レス) id: e37cac3f41 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - あの、リクエスト、いいですか?あの、チアキ君の熱→倒れる、っていいですか? (2021年11月21日 15時) (レス) @page19 id: 4fca5b8289 (このIDを非表示/違反報告)
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