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少しくらい頭がキレて、腕が立つとは言っても、
所詮は小学生。
最初、蘭と竜胆に任されたのは、
パシリのような仕事だった。
必要以上には目立たぬように、けれど着実に、
兄弟は頭角をあらわし始め、
蘭が6年生になる頃には、
金の管理を任されるほどのポジションに付いていた。
「兄ちゃん、今日の売り上げいくら？」
「あ〜50くらいじゃね？」
「上納金が8割だから…」
「俺らの手元には10だな」
「まぁ家賃にはなっか」
「なぁ、竜胆、女が喜ぶプレゼントって、
やっぱネックレスとかかぁ？」
「は？女？」
竜胆は驚いた顔で兄を見る。
「バカ、ユリにやんだよ。
あいつ来月誕生日だろ」
「あぁ…でも制服にネックレスは変じゃねぇ？」
「…じゃあブレスレットにすっかぁ。
明日店見に行こ〜ぜ」
―――――――――――――――――――――――――――――
ユリは中学1年生になっていた。
明るく優しいユリは友達にも恵まれ、
また、その美しさに惹かれる男子も多くいた。
女友達との会話は、恋の話ばかりだったが、
ユリにはまだよく分からなかった。
「ユリちゃんまた告白断ったんだって？」
「実は好きな人いたりする？」
「いないよ〜」
そう答えながら、ふと、蘭の顔が浮かぶ。
「分かった、サトシくんでしょ！」
「ずっと一緒にいるし！」
「え？サトシはただの幼馴染だよ」
「でもたまに一緒に帰ってるじゃん」
「だって部活も一緒だし家も近所だもん」
そうこうしていると、サトシがやって来た。
「今日は部活休みらしいぜ」
「そっか、じゃあもう帰ろうかな」
「久しぶりのオフだし、ちょっと付き合えよ」
「え？」
女友達はこちらを見てニヤニヤしている。
「ほら、ユリ行ってらっしゃい！」
「そうよ、青春してらっしゃい！！」
―――――――――――――――――――――――――――――
付き合うってどこに？と思っていたら、
着いたのは、幼き日によく遊んでいた西公園だった。
「何急に？懐かしいけどさ」
「まぁ座れよ」
ベンチに並んで腰を下ろすと、
いつになく真剣な眼差しで、サトシが口を開いた。
「お前、灰谷兄弟が裏で何やってるか知ってんの？」
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
