▼第2部 それぞれの道 ページ7
物理的な距離ができたため、
これまでのように毎日会うことはなくなった。
ユリはユリで、学校の友達もでき、
習い事やクラブ活動など、
普通の小学生らしい生活を送っていたが、
毎週金曜日は、
どちらかの家で遊ぶという約束をしていた。
「ねぇユリちゃん、
今日皆でクレープ食べに行こうって言ってるんだけど」
「あぁ…わたし、金曜日はダメ」
「えぇ〜サトシくんたちも一緒なのに〜」
「ゴメンね、また誘って」
そういって教室を出たところで、
サトシと出くわした。
サトシは、蘭と竜胆よりも前に仲良くなった、
数少ない幼馴染だ。
「なぁユリ、毎週金曜日、何してんの？」
「何って…別に、友達と会ってるだけだよ」
「ふぅん…」
サトシの顔はどことなく晴れない。
「じゃあ、わたし行くね、クレープ楽しんできて」
学校を出たユリは、その足で蘭と竜胆の家へと向かった。
――――――――――――――――――――――――――――
2人は母親と六本木の別のマンションに引っ越していた。
相変わらずほとんど家にはおらず、
新しい男の人ができたらしい。
「俺ら、金稼がなきゃいけねぇんだ」
ユリが作った料理をもりもり食べながら、蘭が言う。
「そう…でも危ないことはしちゃダメだよ」
「大丈夫だって」
「兄ちゃんは意外とアタマいいからね」
「それは知ってたよ」
「ユリはガリ勉のくせに算数できねぇよな」
「失礼ね！」
「ま、その内儲かり始めたら、
お前にも何か買ってやるよ」
「ねぇちゃん何か欲しいもんねぇの？」
う〜ん…と悩んでユリは言った。
「3人でお揃いのものがほしい！」
――――――――――――――――――――――――――――――
六星コミュニティ
当時都内最大勢力を誇った暴走族、狂極とそのOBが作り上げた、巨大マーケット。
覚せい剤、人身売買、詐欺、
何でもありの犯罪組織に、兄弟は足を踏み入れた。
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
