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〜2006年〜
「私は断然ミシンより手縫い派」
家庭科の授業を何回か休んだせいで、課題が終わらず居残りしなくちゃならなくなった。
ミシン、好きじゃないんだよなー。面倒だし。
高頻度で下糸が絡まるので、物凄い時間がかかる。そうこうしているうちに、手芸部の人たちが部活時間になってやってきてしまった。
「まだやってたんか、A」
「うるさいな。もうすぐ終わるし」
「強がんなって。手伝ってやるから」
「優しいね、隆」
「まあな」
どれどれ、と覗き込んだ隆が、驚いたようにちょっと動きを止めた。
「髪、伸びたな、A」
「そう?」
「いやだいぶ伸びただろ」
五月の時はショートボブでしたけどね。毛先をちょくちょく整えるために切りつつも、伸ばしてきましたから。腰くらいまである。
「すげぇ、こんな長いのに指が全然引っかからねぇ。ちゃんと手入れしてんだな」
「そりゃ、髪は女の命ですから。私もともと髪質良い方だし」
髪を指で梳いてもらうの好き。気持ちいいから。
「ミシン使う時おろしてっと邪魔だぞ?くくってやるよ、髪ゴム持ってるか?」
「否」
「山田さん、家庭科室に髪ゴムあったら、取ってきてくれるかな?」
わざわざご丁寧にどうも。山田さんとやらは、黒いリボンのついた大人っぽいゴムを持って来てくれた。
「ありがとな」
「いいえ、」
そのまま近くにあった櫛を使って、私の髪をくくり始める隆。ちょっとしたらすぐに、
「ん、出来た」
と、満足げに微笑んでいる。いったいどんな髪形を?って鏡を見たら普通にポニーテールだった。あんまりしたことないから、珍しいのか??
「やっぱスゲー可愛い。一回見てみたかったんだよ、Aのポニーテール」
「そんなに?」
私の呆れた質問には答えずに、束ねた房の部分に指を通し始める隆。かと思えばいきなり後ろから腰に抱き着かれ、肩に顎を載せられてビクッとした。お互い椅子に座ってる状態だけど、凄い密着してる。
私から抱き着くことはよくあるけど、されることはあまりないので何となく緊張して。
「白いうなじが見えてんのが色っぽくてイイ。嚙みたくなる」
「噛むな」
噛みこそしないものの、唇をギュッと首筋に押し付けられて、ゾワッとした。
最近の隆はおかしい、何でこんな事ばっかり―――……
「部長。部活中に、部室でいちゃつかないでください」
―――怒られた。自業自得だと思う。
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ま - え、これって駿台模試の英文ですか!? (2022年5月22日 13時) (レス) @page15 id: 8b077b9bca (このIDを非表示/違反報告)
わたし - まって、私坂本なんだけどw (2022年5月11日 17時) (レス) @page6 id: 4ecae0ff80 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - シュウさん» そうなんですよ…時間があればいろんな人のエンドつくりたいとか思うんですけど、話数的に厳しかったり…(´・ω・`)楽しみにしてくださってありがとうございます! (2021年9月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - 夢花さん» この作品いつも楽しみにしています。三ツ谷も千冬もマイキーも選べない!各々のエンド作って欲しいです(土下座(願望なだけなのでご無理はなさらなず) (2021年9月28日 4時) (レス) id: ad2f2b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 千冬…………まぁ、可愛いければなんでもいいよね!!!うん!!! (2021年9月24日 18時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月3日 9時