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まあそれでも課題は無事に終わったし、良しとしよう。
二月にもなれば寒さは一段と増し、冬が好きな私としては割と居心地のいい季節なんですけれども。
「Aさん!」
「お、千冬。どうしたの、今日も可愛いね」
「可愛いって言われてもそんな嬉しくないっスけど」
可愛いという感想しか浮かばないんだから仕方ない。
学校からの帰り道、偶然千冬と会った。ぷくっと頬を膨らませて拗ねる彼を心ゆくまで愛でたいところだけれども、それは後回しにして。
「Aさん、もう2月っスね」
「そうだね」
「2月と言えば?」
期待するようにそんなことを言われるけど、何も思いつかな―――……あ。
「……学年末考査?」
「なんで思いつくのがそれなんですか。バレンタインですよ、バレンタイン」
ふむふむ。バレンタインか。思いつきもしなかった。「なるほど、」と返せば、もじもじと何かを言い出そうとする気配を見せる千冬。愛い。非常に愛い。抱きしめたい。
「あの、その……。――――チョコ、作るんですか!?」
「え、チョコ?」
何でそんな食い気味?
「え、ああ、うん。一応、作ろうとは思ってるよ」
さも、前から作る予定だったみたいな言い方してるけど、噓です。今咄嗟に言いました。だって、Yesって答えないといけない感じの雰囲気だったので。
「!………あの、じゃ、じゃあ!だったら、俺にも、作って…もらえませんか?」
「…へ?」
「ワガママ言ってるのは分かってるんです!――でも俺、どうしてもAさんの手作りのお菓子が食べたくて」
――――どうしよう。千冬が、千冬が、ありえないくらいに可愛いんですけど。
頬っぺたがへにゃへにゃに緩んでいくのを感じたけど、抑えようがない。キュン死案件。
「勿論、絶対作ってあげるよ。千冬の為なら、1000個でも2000個でも作ってあげるよ、千冬の好きなものにしてあげるからね」
頭を撫でまわしながら、緩み切った表情でそう言えば、パッと顔を輝かせて。
「ホントっスか!?俺、Aさんが作ったものなら何でも食べますから!腐ってても食べます!」
「それはお腹壊すからやめようね」
過激発言を窘めるけど、耳に入っていない様子。腐ったものを千冬に食べさせるぐらいなら、死んだ方がマシだわ。
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ま - え、これって駿台模試の英文ですか!? (2022年5月22日 13時) (レス) @page15 id: 8b077b9bca (このIDを非表示/違反報告)
わたし - まって、私坂本なんだけどw (2022年5月11日 17時) (レス) @page6 id: 4ecae0ff80 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - シュウさん» そうなんですよ…時間があればいろんな人のエンドつくりたいとか思うんですけど、話数的に厳しかったり…(´・ω・`)楽しみにしてくださってありがとうございます! (2021年9月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - 夢花さん» この作品いつも楽しみにしています。三ツ谷も千冬もマイキーも選べない!各々のエンド作って欲しいです(土下座(願望なだけなのでご無理はなさらなず) (2021年9月28日 4時) (レス) id: ad2f2b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 千冬…………まぁ、可愛いければなんでもいいよね!!!うん!!! (2021年9月24日 18時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月3日 9時