Episode13 ページ14
恋する乙女の表情と言ってもいいその表情に、ぴしりと固まる二人。
横を見れば、千冬が食い入るように彼女の横顔見つめていた。
「…オイ」
「!………いや、あの、違うんスよ?俺、思ってませんから。俺もあんな風に笑いかけてもらいたいとか、あの猫羨ましいなぁなんて、一ミリも思ってませんから。断じて違いますから!」
尋常じゃないほどに慌てて、己の願望をぶちまけていくスタイルの千冬。
「…千冬ぅ」
「すいません、めっちゃ思いました。オイ猫、その居場所代われやってすごい考えてました」
「安心しろ、オレもおんなじこと考えてた」
「場地さんもっスか!?」
低レベルな会話を繰り広げる二人には全く気付かず、立ち上がるA。
「ふにゃあ」
「ん?……ああ、アレね。分かった」
小さく鳴き声をあげた子猫に、Aはすべてを理解しているように頷く。
アレって何なんだ!?とこれからの展開を予想する二人の前で―――
「ほれ」
「にゃ」
服の前をちょっと広げれば、すぐさまその中に入り込む猫。
……意外とたわわに実った果実の間に、挟み込まれる形となった子猫は非常に満足そう。
喉をゴロゴロと鳴らし、「上機嫌」を全身で表している。
「ピロスカはホントに、これが好きだねぇ」
そう言って笑うAも、満更でもなさそうで。真っ白な肌と、真っ白な毛並みのネコの色が同化している胸元を、幸せそうに抱きしめている。
「んな、な、な、な、なんですかあの超うらやま――ゲフン、けしからん体制は!?」
「あの猫マジでズリぃだろ、何やってんだAの奴」
何とか言葉を取り繕った千冬に対して、もはや取り繕う気の欠片もない場地。
初心な千冬は頬を真っ赤にして、わたわたと動き出す始末。
もし自分があの猫だったら…的なことを想像する千冬と、ただひたすらに子猫を憎々し気に見つめる場地。傍から見れば不審者極まりない。
「ああもう可愛い!」
溢れるピロスカへの愛を抑えきれずに、そのちょっと湿ったピンク色の鼻先に、チュッと音を立ててキスするA。
「ぶっ……」
とうとう、千冬が鼻血を出して打っ倒れる。
「オイ千冬、しっかりしろ、オイ!」
「場地さん………あの猫に、なりたかった人生でした」
「俺もだ千冬!」
――――どこまでも低レベルな二人でした。
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グラニー京子 - 面白かった! (2022年4月4日 14時) (レス) @page38 id: 90faee3a30 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ふゆきさん» 朱里ちゃんそこまで気に入っていただけるなんて…!番外編、楽しそうなんですけどね… (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - わかめさん» 返信遅くなってすいません!…ええっ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです是非是非見てみたいです!! (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ももさん» ぐへへ、ほんとですか?←きも 愉快になっていただけたら嬉しいです! (2021年12月30日 23時) (レス) @page37 id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき - 主人公ちゃんと朱里ちゃんの絡みが凄い好きです!番外編とかでみんなの日常編みたいなの作って欲しい… (2021年12月30日 9時) (レス) @page38 id: 0daf234829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月13日 23時