les plume Ⅱ【月永レオ】 (ページ4)

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- 鳴上嵐と独奏曲/第二話ページ4

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「…Aちゃん」

そう名前を呼べば、『なあに？』と振り向く姿が。何も無い真っ白なキャンバスに、鮮やかな色たちが乗るように笑うから。
ほんの少し、羨ましいと思った。『Knights』の皆に踏み込めない、踏み込ませたくない。まだそう思ってしまっていて、物語の中心に居なかった自分と対照的に、いつも物語の中心で笑っていたあの子が。眩しくて眩しくて、焼き焦がれてしまいそうなくらいな、光だった。

もちろん、何かを隠していたことくらい、アタシにも分かってはいたけれど。凛月ちゃんと泉ちゃんも、きっと気付いていただろうけれど。やっぱりそれを問うことは出来なかった。聞いてしまえば、もう2度と戻れないような気がしてしまったから。2度と、あの子の笑顔が見れなくなってしまうような気がしてしまったから。

今思えば、あの時聞いていれば、今の展開には至らなかったのかもしれないけれど。そんな過去のことを振り返っても、何も変わらない。

『…ふふっ、』
「？どうかしたのォ、Aちゃん？」
『…なんだか最近の嵐、楽しそうだなあ、って思って』

小さな出来事も、凄く楽しそうに話してるから。

思わず楽しそうに見えるのかと聞き返せば、柔らかな微笑みと共に『うん、わたしにはそう見える』という肯定の言葉が返ってくる。そう言う彼女は嬉しそうではあったけれど、微かに揺れている瞳は寂しそうで。隣に腰かけてそっと頭を撫でれば、驚いたように赤茶の瞳を見開いた。

「…なら、アタシはAちゃんにも、楽しそうに笑って欲しいわァ。一緒に、沢山笑いましょ♪」
『…うん、たくさん笑いたいなあ』

あの時の浮かない表情が、アタシが最後にあの子を見た時。引き留められていれば、なんて後悔はするけれど、引き留めたとして彼女はそこに留まってくれたのだろうかとも思う。

(…どうして居なくなったの、なんて、聞かなくても分かっちゃうけどねェ…)

ただやっぱり、実際に会って、あの太陽のような眩しい満開の笑みを見せて欲しいな、と思ってしまう自分は、我儘だろうか。

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