【浦/島/坂/田/船】私の彼氏さん。【短編集】

煙草の味は【志/麻】 ページ11

煙草って嫌い。


でも、煙草を吸っているあの人を見るのは好き。



私の目線の先にいるのは、上司の月崎 志麻さん。
私が新人の頃から、意地悪で、でも優しく教えてくれた。



でも、

「今日月崎さんに挨拶返してもらったんだけど〜！！やばいマジでイケメン♡♡」

「えぇ〜いいなぁぁ…羨ましすぎ！！」


月崎さんはモテる。

関係ないってわかってるけど、最近入ってきたような女の子たちよりはずっと好きなのに、なんて考えてしまう。



ﾊﾟﾁｯ

「(あ、目が合った)」


さっきの子たちほどではないけれど、目が合うと嬉しいのは事実。

とはいえ私も先輩方からの目線が怖いので隠すけど。


ふと時計を見るとそろそろ休憩時間が終わる頃。


「よしっ」


軽く頬を叩いて仕事を再開した。



…


「Aさーん、ちょっときてー」



１つ上の先輩に呼ばれて席を立つ。
何かしたっけな〜、、



「ここ、計算間違ってるんだけど…
やり方わかってる？」

「ここは少しわからなくて…」

「今日、帰るのが少し遅くなってもいいなら教えたげ」

ｶﾞｼｬﾝ

先輩の言葉を遮るように月崎さんの方から物音がした。

どうやら少しコーヒーの入ったコップを倒してしまったみたい。大丈夫かな？



そんなことを考えていると、

「Aさ、そこら辺にあるティッシュ取ってくれん？」

「あっ、はい！」



月崎さんから物を取れとの注文。

私が選ばれた事に優越感を感じそうになったけど、普通に考えて私が立ってるし、ティッシュに近かったし…



「(浮かれるな、私)」


顔に出ないように必死に隠して先輩へと手渡す。


「はい、どうぞ」

「ん、ごめんなありがとう」

「はい、ではこれで」


平常心を保ちつつ月崎さんのもとを離れる。


あ！！！



「すみません、計算の件は調べたりしてやり直しておきます！！
明日中には提出できるようにしておきますね。」

「え、ああ、了解。
じゃあそれだけだから戻っていいよ。」



月崎さんに夢中で先輩のこと忘れるところだった…

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