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昴さんとの一件があったあの日の翌日、再び昴さんからの謝罪を受けた。
椿さんと梓さんの制裁のせいで、顔から真剣味が取れなくなってしまっていたが、
彼なりに誠意をもって謝ってくれたことは理解したということと、
要さんの慰めにより心持ちが軽くなったことがあり、関係は修復されつつあるように思う。
あの日から数週間経ったが、特に大きな事件は起きておらず、平和な日常が続いていた。
「おはようございます、右京さん、絵麻」
「おはようございます、Aさん」
「お姉ちゃん、おはよう」
久しぶりに普段の平日よりも早起きしたため、いつもよりリビングに来る時間帯が早かったのだが、
休日といえど、いつも通り2人は、朝早くから朝食の準備をしてくれていたようで、もう料理は出来上がりつつあった。
「何か手伝えることありますか?」
キッチンに入って私が尋ねると、
「そうですね……では、こちらの食器を……」
すぐに右京さんから指示をもらい、私たちは家族が起きるまで3人で朝食の準備に取り掛かった。
「……おはよー」
「おはようございます」
爽やかとは少しほど遠い朝の挨拶と共に、リビングにやってきたのは雅臣さんだった。
仕事の疲れがとれていないのか、なんとなくぼーっとしている。髪の毛もボサボサだ。
「あ、おはようございます」
絵麻も気づいたのか、私より少し遅れて雅臣さんに声をかける。
「うう〜ん」
硬くなった体をほぐすように大きく背伸びをした。
「昨日は夜勤だったんですか?」
右京さんが訊ねる。
雅臣さんはゆっくりと頷いた。
「その予定じゃなかったんだけど、帰ろうとしたら急患が入っちゃって。
さっき帰ってきたところなんだ」
ダルそうに雅臣さんが椅子に腰を下ろす。
「それは……お疲れ様でした」
私がそういうと、雅臣さんの顔に笑顔が浮かんだ。
「あ、そう言ってもらえるとうれしいな」
「疲れてるようですけど、大丈夫ですか?」
「ちょっとだけど、さっきまで眠れたからまだ楽な方だよ。
でもほら、なりたくて病気になる人はいないわけだし、まして僕が診るのは子どもだからね。
早く治してあげたいじゃないか」
そう言ってまた微笑む。とても優しい笑顔だ。
「正論だと思いますが、体調には気をつけてくださいよ。
あと1ヶ月くらいですから。長男が欠席するわけにはいきませんし」
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ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - 美姫さん» そう言っていただいて嬉しいです!ただいま書き溜めている最中ですので、また溜まったら一気に放出します!美姫さんのお声を励みに頑張りたいと思います!コメントありがとうございました! (2021年5月9日 23時) (レス) id: 89aa548621 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 最高に面白いです!!続きがとても気になります!更新頑張ってください!! (2021年5月6日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - Kさん» ありがとうございます! (2021年4月29日 21時) (レス) id: 89aa548621 (このIDを非表示/違反報告)
K - 頑張ってください!応援しております! (2021年3月22日 2時) (レス) id: 0b64bc8b9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2021年2月12日 23時