プラチナの王子様 (ページ5)

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1-1:プラチナと組み分け帽子ページ5

停車した列車から降りた真緒は、ドラコと分かれると、大きな男性に率いられながらボートでホグワーツ城へと向かった。

ボートで一緒になった、赤毛の女の子ーージニー・ウィーズリーと他愛ない会話をしながら降り場までつく。

「私、グリフィンドールが良いわ。それにしても一体どうやって寮を決めるのかしら」

「帽子をかぶるみたい」

え、それだけ？と聞くジニーに、同室の先輩に聞いたと答えると肩を竦めた。

「兄さんにはめられたわ、もう」

「ああ、悪戯好きな双子のお兄さん？」

ジニーの話に出てきた六人の兄は皆、個性豊かそうで聴いていて飽きなかった。

頷くジニーに真緒はくすりと微笑んだ。

(兄弟がいるのって、良いなぁ…)

一人っ子の真緒は、経済面も含めてその環境に不満を覚えたことはないが、兄弟がいたらどんな感覚だろうとふと思った。
ジニーは家が裕福でないことをぼやいていたが、それでもとても楽しそうだ。

厳格そうな女の先生に連れられ、扉の前に待たされた新入生の群れは、そわそわとしながらその時を待った。

どのくらい経っただろうかーーー扉が開き、真緒はその大広間の天井の星空に目を奪われた。

後ろの子につつかれて、慌てて前へと進む。

「名前を呼ばれた者から前に出て帽子を被りなさい」

厳格そうな女の先生はそう言った。

「アンドリュー・ザラ！」

鳶色の髪を靡かせ、少女が帽子を被った。

一瞬の間。

「レイブンクロー！！！」

左から二番目のテーブルが湧いた。
歓声に迎えられながら、ザラ・アンドリューが席に着く。

少しして、同じボートに乗っていたコリンが呼ばれて、彼はグリフィンドールに組み分けされた。
それを見た真緒は、汽車でのドラコの言葉を思い出していた。

「勿論、一番は僕の寮ーーースリザリンさ」

自身の緑のネクタイを指差して、ドラコは得意げに笑っていた。

真緒はぼんやりと考え込んでいた。

苗字のTは後半ではあるものの、自身の親の寮も特に聞くこともしなかったことを後悔しながら、どの寮が良いかを思案していると、あっという間に自分の名前が呼ばれる。

「土御門・真緒！」

大勢の目に見つめられながら、真緒は壇上へとあがる。

視界が暗くなる直前に見たのは、綺麗なアイスグレー。

次の瞬間、暗闇に支配された。

「おや、君は…アリアナの娘だね」

嗄れた声。
帽子からだ。

真緒は思わず小声をあげていた。