危うい ページ41
【アラン視点】
アステとディッフェがAの意見に同意した後、Aは迷いなく4番がセキタイ産だと言い放った。
『おめでとうございます! 大正解! 4番が正解です!!』
ピエールがハイテンションでAの成功を讃える。
「まあ、そうよね……」
「ええ……」
Aが正解したにも関わらず、教官と俺が浮かない顔をしているのは、何を隠そう、Aのあの行動のせいだった。
「あの目……我を忘れたような様子……。かなり危なかったわ。長老が止めてくださらなかったら、どうなっていたことか……」
教官が唇を振るわせながら、画面を睨み付けるように見入る。
石が運ばれてきた瞬間、テレビに映し出されたAは導かれるように正解の石に素手を伸ばした。こちらでは、教官は瞬時に眉をひそめ、周りの空気を緊迫させた。俺も不穏な空気を感じた。きっとこれもあいつの力なのだろうけれど……やはりどうも危うい。
本人もそう思っているらしく、正解にほっとしている顔をしてはいなかった。パフォーマーとして辛気臭い顔はしていけないため、表面上は笑顔を見せているが、内面の動揺が痛いほど伝わってくる。
と、いつの間にか審査が終わっていて、合計ポイントが発表された。68ポイントだった。素手で石に触ろうとしたことが大きな減点に繋がったようだ。長老においては、たったの5ポイントしか入れてくれなかった。
「上位4名に入れるかしらね……。そもそも、二次審査に進めたとしても、ちゃんとやっていけるかしら……」
教官がいつにもなく心配そうに画面を見つめる。
二次審査に進めるのは一次審査の結果の上位4名。68ポイントという数字でそこに入れるかどうか、微妙なところだ。
しかし、まずセキタイ産の石を当てるのがかなり難しい。実際に見ていないからかもしれないが、全く4つの石の違いがわからない。その点を考えると、50ポイント以上獲得しているAは有利な方かもしれない。
ただ、そうだな……。二次審査に進めたとして、何のアクシデントも起こらないという確証はない。さっきの行動から、よからぬ想像をしてしまう。
「A……」
いつの間にか、俺の拳が固く握られていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【A視点】
ステージから早急にはけて、控室に戻ってきた。変な汗がつうと背中に流れ落ちる。
「おかえり、A。正解おめでとう……って、どうしたの?」
スピカが出迎えてくれたが、返事をする余裕はあまりなかった。
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年9月29日 14時