シビアな一次審査 ページ39
【アラン視点】
「なんとか間に合ったわね……」
反省会が盛り上がりすぎて、トライポカロンの時間を忘れていた。Aは出ないだろうと思っていながらも、教官の勘に期待している節もあるので少し焦った。
テレビ画面には、ピエールのハイテンションな司会ぶりが映っている。ふと画面右横の出場者一覧を見ると、驚くべき名前があった。
「A……!?」
エントリー番号2番、上から二番目に、Aの名が表記されていた。
「だから言ったでしょう? Aはきっと出るって」
教官が誇らしげに言うのもあまり耳に入ってこなかった。Aが出てくれるのはうれしいが、激しい動きをするトライポカロンに出て大丈夫なのか心配だ。
動揺しながらも、一次審査の説明を聞く。石の鑑定がテーマらしい。100ポイント満点で、4つの石の中からセキタイ産の石を1つ当てられたら50ポイントが入る。あとの50ポイントは、二人の審査員によるパフォーマーの鑑定手段の評価だ。つまり、審査員一人につき25ポイント満点評価。
審査員は鉱物研究家とセキタイタウンの長老の二人だった。もし今ダイゴさんがこの地方に来ていたのなら、ここに特別審査員として呼び込まれてもおかしくないな。いや、逆に自分から志願しそうだ。
「あら、長老、お元気そうね……」
教官は長老と顔見知りらしく、懐かしそうな視線を液晶に向けている。
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【A視点】
1番に選ばれたパフォーマーは、前回のフェスト大会で見た、ミミロップの少女。確か名前は……リンナ。今回はミミロップの他にペリッパーも連れている。
リンナの前に4つの石が大事そうにトレイに載せられて運び込まれた。見かけだけで判断は難しそうで、私の目にはどれも同じただの石ころのように思えてしまう。
手袋を渡されたリンナはそれをしっかりとはめ、一つ一つ丁寧に手に取っていった。リンナの表情から、手に取っても違いはあまりわからないらしい。今回の一次審査はかなりシビアになっているようだ。
リンナは次に、ミミロップに意見を求めた。ミミロップは技、みやぶるを使って、石を見た。なるほど、そういう使い道があるのね。
ミミロップは3番と札が立っているところに置いてあった石を指さし、うなずいた。
リンナは次に、ペリッパーに意見を求めた。ペリッパーはちょうおんぱで石を見分けようとしているらしい。ペリッパーの解答もやはり3番だった。
満を持して、リンナは3番の札を挙げる。
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年9月29日 14時