ゲリラ開催 ページ30
【A視点】
ミリップさんが去った後、私は小型テレビがベッドの直線上にあるのに気づき、即座にチェストの上にひっそりと置いてあったリモコンを手に取り、電源をつけた。もしかしたら次のトライポカロンの告知がされているかもしれない。
慣れた手つきで、コンテストやトライポカロンなど、女性に人気のあるトピックを特集する番組にチャンネルを合わせる。
結論から言うと、私の予想は当たっていた。数分前に次のトライポカロンの告知がされたらしく、テレビには前回のトライポカロンフェスト大会の様子が映し出されている。その画面下部に流れるテロップには『トライポカロンセキタイ大会、ゲリラ開催のお知らせ!』の文字が。その後を読んでみると、今から一時間後の開催で、一次審査のテーマは本番中に公開とのこと。
こういうゲリラ開催は稀にあるし、うわさでセキタイでトライポカロンが開催されるかもしれないことは知っていたから、その点での驚きはなかったが、何せ今の私のコンディションを考えるとちょっと心配にならざるを得ない。あと一日休養をとるように言われているのに、今回の大会に出られるものなのか……。まずそのことが心をざわつかせている。
もし病院側から外出許可が出なくても、こっそりと病室を出ていって参加する度胸はある。ただ、体調的にそれができるのかどうかだ。今は大事はないが、本番直前になって急に力の副作用が出たら……とかいうことを、どうしても考えてしまう。
ほとんど無意識でチェストの上のモンスターボールに手を伸ばし、ゆっくりとそれを開いた。
「キッス?」
ツドキが私のいるベッドの真上に現れる。
「ごめんね、なんかちょっと不安になっちゃってさ」
本当はまず今朝起こったことの説明と謝罪をしなければいけないのだろうけれど、ツドキの目はすべて状況を理解していると伝えてきた。それを信じて、私は本題から話しかけた。
「今日のトライポカロン、出たいんだけど、もし本番前になって力の副作用とかでコンディション崩したらって思うと、怖くてね……」
今までの傾向として、私はトライポカロン前後にアクシデントに巻き込まれることが多い。言ってしまえば今の状況もそれに当てはまっている。それゆえに、不安になってしまう。
「キッス?」
「今更?」と笑い飛ばすように、ツドキは翼を一振りした。
確かに、こんな心配今更なのかもしれない。これまでも、アクシデントに巻き込まれながら、何とか乗りきってきたんだ。
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年9月29日 14時