身体能力 ページ24
「ふ〜ん、モミジの話通り、あなた自身の身体能力もすごいわねぇ〜。これはなおさら逃がすわけにはいかないわ〜」
独特の口調でそう言いながら、コレアは手持ちの銃を構えた。銃口は私に向けられている。
そしてコレアはそのまま引き金を引いた。まさかとは思ったが、こんなに簡単に人に向かって発砲するなんて……恐ろしい。
私は自分の本能に備わっている危機回避能力をふんだんに活用し、銃弾をギリギリで避けた。
その後も心が休まる暇はなかった。すぐに大量の爆弾が私の方に向かって投げられた。
「ハッ!!」
またも回し蹴りで爆弾を対処。コレアをはじめ、多数のフレア団員が驚きの視線を向ける。
この間に逃げる手もあったが、この広い荒野から逃げ切る前に相手の追撃が来るだろう。背を向けるのは危険だ。ここは一か八か、腹をくくるしかない。
「ええ、私はポケモンに頼らなくても戦えるの」
仁王立ちをしながら含みのある笑みを浮かべる。
「どこからでもかかっておいで!」
逃げられないのなら、相手が逃げるほどの戦いをすればいい。
真っ先にまんまと挑発に乗ったのはコレアだった。再び銃口を私に向けてくる。
それに呼応して、複数のフレア団員が同じように銃を構える。
「この際ターゲットの生死は問わない! 全員、最大火力で撃て!!」
コレアの憤慨に満ちた声で、一斉にこちらへ向かって発砲された。
その瞬間、自分の瞳が赤茶色に染まるのを感じた。
銃口の向き、風向き、その他諸々を考慮し、どのように避ければよいか計算する。自分以外の全てがスローモーションのように動いているように感じる。弾道がくっきりと視える。この状況なら、いける。
前に出した右足に重心をかけ、バネのように飛び出すかのように地を駆ける。低く、できるだけ低く、忍者のように、地を這うくらいの勢いで。
髪の毛が一部銃弾にかすったようだが、それ以外は無傷だ。そんな状況で銃弾の雨を抜け、私はコレアの目の前までたどり着いた。
コレアの顔は青ざめていた。そのゴーグルに反射する私の眼光は、やはり赤茶色。
「ごめんなさいね」
そう一言囁いてから、私は鮮やかな手さばきで彼女を失神させた。気の毒だが、正当防衛ってことで。
まあ軽ーいものにしておいたから、数分も経てば自然と目を覚ますだろう。そう判断し、私は周りに目を向けた。
「これを見てもまだ、私と戦うつもり?」
私の狙い通り、多くのフレア団員が戦うかどうか迷い出した。戦意喪失する者もいた。
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年9月29日 14時