姫様と二人の小さな物語(48) ページ48
その日の夜の事。
家族で久しぶりに一緒にいることができて、なんだか嬉しくなってしまう。
「二人とももう寝ていますね」
『ええ。…可愛いわ』
「……しかし、やはり異常なのですね。今日のことで痛感しました」
ジャーファルは私たちを愛してる。
でも、それと同じくらい王様や、八人将のみんな、そして何よりこの国を…国民を愛しているから。
だから余計に辛いのだと思う。
大好きな家族が、尊い国民に認めてもらえないことが。
(やっぱり、ここには私たちの居場所はないんじゃ……)
「何を考えこんでいるんです？」
『いえ…家族の未来を想うと、少し』
「そうですね。……このままではフリーヤは予定よりずいぶん早くアリサトスに行くことになりそうです。それに…貴方達も――」
『だから、いるって言っているでしょう？離婚したいんですか？』
「でも…あなたの意志とは関係なく、いずれは引き離されるのかもしれない。家族がバラバラに……」
どうして信じてくれないの？とは言えなかった。
なぜかはわからない。
でも、今日のことで私も感じてしまったからだ。
ここに似つかわしくない私たちは、この国を追われる日が――
(ううん、そんなことない…)
疑ってはいけないと、慌ててかぶりを振る。
私もジャーファルと同じくらい、私を変えてくれた仲間が、夫が愛するこの国が大好きだから。
離れることなんて考えない。
『傍にいるわ。ずっと……もし、誰かが連れ去ろうとしたらその時はあなたが守ってくれるでしょう？』
「A……」
『私たちは離れちゃいけない。だって、私はあなたの『生きる意味』なんだから…道しるべを失った人はもう進めなくなる。ジャーファルは生きる灯をやすやすと手放したりしないでしょ』
「ええ。そうですね」
そう言ってジャーファルは私を抱き寄せた。
全てを包んでくれている気がして、安心してしまう。
この人がいてくれるから…大丈夫。
この腕の中みたいに、全部大事に守ってくれる。
(私はあなたを信じる……)
互いに見つめ合ったまま、自然な流れで私たちは口づけを交わす。
『ふふっ、まったく疑い深い夫だこと…。もう少し信じてくれればいいのに』
自分の事は棚に上げ、少し意地悪っぽくジャーファルに言った。
「別にそういうわけじゃ…信じてますよ。でも…最近は何かと不安になって……」
『仕事のしすぎなんですよ』
こうして、シンドリアの幸せな夜は更けていった。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←姫様と二人の小さな物語(47)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁(プロフ) - 星月夜さん» ありがとうございます！更新遅くてすみませんm(_ _"m)ウィールスさんの出番も今後増えていくと思うので、今後もよろしくお願いいたします。 (2017年9月18日 0時) (
レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 更新がまた始まって嬉しいです。ウィールスさんのなかなか素直に慣れないところ大好きです(о´∀`о) (2017年9月17日 23時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - くるみさん» すみません。完全に設定いれるタイミング逃してしまいました。(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月17日 17時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - くるみさん» ホントにね…苦笑 貴重なご意見ありがとうございます♪参考にさせてもらうね！ (2017年6月3日 6時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 暁、今まで二週間ぐらいバタバタしてたけどお疲れ様でした！やっと落ち着けるね（笑）私的には設定書いてもらえたらありがたいです！ (2017年6月2日 23時) (レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暁 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年4月24日 15時
