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姫様と二人の小さな物語(43) ページ43

「お母さん、大丈夫かな?僕が我儘言ったから?」

「そんなことありません。少し疲れただけですよ。気にしなくていい。ウィールスさん、フリーヤを…」

「私は、もう少しこの部屋にいます」


やはり妹が心配なのか。

腐っても兄妹だ。


「…わかりました。フリーヤ、お父さんと一緒に行きましょう。お母さんが目が覚めた時、気を使わなくてもいいように」

「は〜い……ごめんね、お母さん」


不安そうに母を見つめる息子とともに部屋を出る。


部屋に残ったのは、ちぐはぐで危うい兄妹。

「……」


眠りについたとたん、体温が上がり高い高熱に侵される妹。

汗ばんだ額にまとわりつく髪をそっと分けてやる。


もう何年も触れていない妹。


(昔は……よく、触れていたな……)


一緒に寝たり、体調を崩せば一晩中傍にいたり…ずっと近い距離だったはずなのに――

実際は何万歩も離れていて、想いがまじりあうことはなかった偽りの兄弟。


演じていたあの頃と何もかも違う。


熱が出ても、泣いていても、情など湧かなかった。

でも、今はできることなら変わってやりたいと願う自分がいる。


初めて、『兄』としてこの子に触れてあげることができた気がする。


『うッ……』


呻く妹。悪い夢でも見ているのか、とてもうなされている。


手を握り、昔やっていたようにさすってやる。

こうすると、不思議と妹は落ち着くのだ。


今も、昔と変わらず安心したかのように深い眠りにつき始める。


(もっと……前から、こうしていればよかった)


求められていなくても、自分から――


そんなことを考えているうちにいつのまにか寝ていたようで、気がつけば太陽が空高く昇っていた。


「もうこんな時間か…」


ちらりと横目で寝ている妹を見る。


(一人にして大丈夫か?)


起きた時に誰かいた方がいいのだろうか?

しかし、ジャーファルの言っていた通り気を使ってしまうのでは?


第一、最も気を使わせてしまいそうな奴が近くにいても……


『お兄、様…?』


悩んでいるうちに目を覚ましてしまった。


「あなた様の兄上は死んだはずでは?」


結局、見せるのはいつも通りの愛想のない自分。


『そう、なんですけど……今だけ、甘えさせてはいただけませんか?兄にもどって…いただけませんか』


熱のせいか、目に涙が溜まってる。

サッと優しくそれを救いあげ、溜息をついた。


「今だけだぞ」


それを聞くと、二コリと妹は微笑んだのだ。

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(プロフ) - 星月夜さん» ありがとうございます!更新遅くてすみませんm(_ _"m)ウィールスさんの出番も今後増えていくと思うので、今後もよろしくお願いいたします。 (2017年9月18日 0時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 更新がまた始まって嬉しいです。ウィールスさんのなかなか素直に慣れないところ大好きです(о´∀`о) (2017年9月17日 23時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - くるみさん» すみません。完全に設定いれるタイミング逃してしまいました。(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月17日 17時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - くるみさん» ホントにね…苦笑 貴重なご意見ありがとうございます♪参考にさせてもらうね! (2017年6月3日 6時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 暁、今まで二週間ぐらいバタバタしてたけどお疲れ様でした!やっと落ち着けるね(笑)私的には設定書いてもらえたらありがたいです! (2017年6月2日 23時) (レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年4月24日 15時

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