姫様と二人の小さな物語(24) ページ24
二人の間にしばらく沈黙が続く。
何かを急かすかのように、風が窓から扉へと通り抜ける。
『ふふっ、ごめんなさい。ちっとも楽しくない話をしてしまって…』
「いえ…」
『本当はこんな話がしたかったわけじゃないの…でも……』
「姫様…かまいませんよ。姫様の話、聞けて良かったです。…大姫が幸せだったこともわかりましたから」
『……?』
「だって…だって、大姫をこんなにも思ってくださる家族がいるのです。幸せじゃないはずないでしょう?」
『…そうね。そうだったらいいのにね』
思い出は少なくても想い合うことができたのだから彼女の言うとおり、私たちは幸せだったのかもしれない。
少なくとも、家族としての絆はあったのだろう…死んでなお、私のもとへ来てくれたのだから…
『ありがとう。…そうそう、貴方に話があるの。本当はこれが本題』
「な、なんでしょう…」
何を言われるのだろう…身構える彼女を、まじまじと見つめ、Aは満足そうに笑った。
『うん、やっぱり』
「……??」
『出会った時の人形みたいに感情を隠してる貴方より、言葉にも顔にも感情の宿った本当の貴方の方が私は好き。だから、もっと貴方らしい貴方でいてほしいなって思って…』
「私らしい…私、ですか…?」
それは、感情を隠すと決意した彼女を戸惑わせるには十分すぎる言葉だった。
『ええ。それにね、敬語なんて使わなくていいのよ。お互いのことをよく知って私はあなたと仲良くなりたいの。…友達に敬語は不要でしょ?』
「友達……」
その言葉に感激を受けたかのように、顔をほんのり赤らめて「友達…」と復唱する少女。
「で、でも…あの姫の気持ちは嬉しいのですが、姫は私の主です。私のような者が姫の友達など…」
『それは貴方が勝手に決めたことでしょう?私は承諾してません。だから、姫様呼びも禁止。Aって呼んでほしいな。……だめ?』
いたずらっ子の様に無邪気な顔で、おねだりをする。
困り果てた少女は…
「では…名前だけ、お言葉に甘えさせていただきます」
少女の言葉を聞くと、Aはまた満足そうに笑った。
『よろしくね。じゃあ、貴方のことをこれからいろいろ教えてちょうだい。貴方のことをもっとよく知りたいの』
「…Aは不思議な人ですね」
『そうかしら?』
本題の「仲良くなる努力」を達成でき、互いに歩み寄る二人…
二人の出会いがこれからの未来を大きく変えることになるのだが、それはまだ先のこと―
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暁(プロフ) - 星月夜さん» ありがとうございます!更新遅くてすみませんm(_ _"m)ウィールスさんの出番も今後増えていくと思うので、今後もよろしくお願いいたします。 (2017年9月18日 0時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 更新がまた始まって嬉しいです。ウィールスさんのなかなか素直に慣れないところ大好きです(о´∀`о) (2017年9月17日 23時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - くるみさん» すみません。完全に設定いれるタイミング逃してしまいました。(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月17日 17時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - くるみさん» ホントにね…苦笑 貴重なご意見ありがとうございます♪参考にさせてもらうね! (2017年6月3日 6時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 暁、今まで二週間ぐらいバタバタしてたけどお疲れ様でした!やっと落ち着けるね(笑)私的には設定書いてもらえたらありがたいです! (2017年6月2日 23時) (レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年4月24日 15時