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姫様と二人の小さな物語(23) ページ23

『里の外に力が漏れる』


守ってきた秘術が…天より与えられし力が、外の愚民どもに奪われてしまう。

なんとしても取り戻さなければいけない。


「里に新たな主として迎え入れ、外のものから守ってやらねば…」


それがあちら側の意見だった。

やがて、その『姫』にも子供ができた。それを期にあちら側はとうとう行動に出たのだ。


姫や里にとってそれが最善なのかもしれない。外に力を利用されるくらいなら――


でも、なにより自由を愛したあの人を思うと自由を奪うことなんてできなっかった。




だから、私は…


その時、窓から朝の涼しい風が入り込んできた。

顔をあげると窓際に姫様が一人黄昏ていた。


「姫様…?」

『…もう、いいの?』


思いにふけるのはもういいの?と聞かれている気がした。

あの後、姫様はすぐに部屋に戻られたはずだ。

姫がここに戻ってきていることに気づかなかったなんて…


『何を考えていたの?』

「…大姫のことや私のやるべきこと、です」

『そう…貴方は本当にお母様のことを好いていてくれたのね』

「…大姫は、私たちの命の恩人ですから」

『…私もね、お母様やお父様…家族のことを思い出していたわ』

「家族…ですか?」


私には家族というのもはわからない。

だから、姫が寂しそうにしている理由もわからないんだ。


『私の家族は言葉を交わすことも少なかった。会う機会さえなかったの。家族らしい思い出なんて一つもなかったわ。でもね、お母様たちがいなくなった時、凄く悲しかった。悲しかったの』

「………」


ああ、そうか…だからそんなにも悲しそうな顔をしているのか。

だって、姫の父母も兄妹も、もう――。


『だからね、貴方が母のことを覚えていてくれたことが嬉しかったの。だって…』


家族のことは私しか覚えてないんじゃないかって。家族のことをもう、誰もが忘れ去ってしまったんじゃないかって。…そう思えたんだ。もう昔のことみたいに、過ぎ去っていく日々が少し嫌になる。

それは彼女の心の声だった。


「姫、さま…」

『ふふっ、ごめんなさい。…お兄様まで私の前から消えてしまていたら、きっと私…』

「お兄さんのことがお好きなんですか?その…」

『…確かにいろいろあったけれど、お兄様がそばにいてくれることは嬉しいの』


憂いを秘めた目。複雑な心情。

きっと、姫の心は完全に癒えたわけじゃないんだ。



大姫、私はどうしたら姫の心に寄り添えますか?心を癒す月になれますか―

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(プロフ) - 星月夜さん» ありがとうございます!更新遅くてすみませんm(_ _"m)ウィールスさんの出番も今後増えていくと思うので、今後もよろしくお願いいたします。 (2017年9月18日 0時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 更新がまた始まって嬉しいです。ウィールスさんのなかなか素直に慣れないところ大好きです(о´∀`о) (2017年9月17日 23時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - くるみさん» すみません。完全に設定いれるタイミング逃してしまいました。(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月17日 17時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - くるみさん» ホントにね…苦笑 貴重なご意見ありがとうございます♪参考にさせてもらうね! (2017年6月3日 6時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 暁、今まで二週間ぐらいバタバタしてたけどお疲れ様でした!やっと落ち着けるね(笑)私的には設定書いてもらえたらありがたいです! (2017年6月2日 23時) (レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年4月24日 15時

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