第30話 ページ30
は…、え？
私はなんて言われたか脳で処理するのには時間がかかった。
数秒の沈黙のあと
「す、すみません。今、なんと？」
「転校届けにサインをするから生徒会室に後で来なさい、って言ったんだよ。」
「なんで…」
私はこの男の深層心理が全く分からない。
この間までは散々引き止めてきた癖に…。
でもせっかくだ、これが最後のチャンスでもあるんだ。
肯定しよう、ありがとう夢ノ咲。
「なんでですか…なんで今更なんですか！！」
気がつけば、私は天祥院さんのネクタイを引っ張って顔を近づけていた。
書類が結局散らばってしまった。
脳裏に浮かんでいた言葉をかき消すように、理性が切れる
「せっかく、諦めもついて。この学院で頑張ろうかな…なんて思っていた時に！」
自分でもわがままを言っていることはよくよくわかる。
「なんで、そんなこと…言うんですか」
私の頬に涙が伝う。
身体の左側が痛い、ドクドクと音を立ててうねっているのがわかる。
「…あなたはわかってるくせに、これが狙いだったんでしょ？私があなたをす…」
ここで私は理性が戻ってきた。
私はあくまで、ここではプロデューサー。
学校にいる間は少なくともプロデューサーとしての巴Aだ。
私的な感情を出しては行けない。
「ごめんなさい…取り乱しました。」
私は先輩のネクタイをぱっと離して咄嗟のことで落とした書類をかき集める。
「今、なんて言おうとしたんだい？」
天祥院さんは、ぽかんとした顔で私に聞いてくる。
「なんでもないです。ここで言うべきことじゃないので。」
嘘は着いていないが、私の立場上これが最適解なことはわかっている。
巴Aはいくつかの顔を持っているから、使い分けないといけないときがあるというのは、前々から承知してたはずなのに、なぜこうも私は未熟なのだろう。
私は唇を噛み締めてこう言った
「急に引っ張ったりしてごめんなさい、後ほど生徒会室に巴日和の妹であり巴家長女として向かいますので、あなたも天祥院英智として迎えてください。」
いっそう雨が強くなる音が廊下に響いていた。
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。 - 蓮見じゃなくて蓮巳です。 (3月10日 23時) (
レス) @page8 id: 4dba0393ab (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ(プロフ) - ありがとうございます、めっっっっちゃきゅんとしました! 推しが…英智先輩になってしもうた……………もう最高すぎます! (2023年3月29日 8時) (レス) id: 2cdbc326e2 (このIDを非表示/違反報告)
草林檎(プロフ) - あおさん» コメントありがとうございます！そう言って貰えて恐縮です。改めまして、ご感想本当にありがとうございます。 (2022年8月2日 19時) (レス) id: c346cb75c8 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 英智の策士っぷりかっこよすぎでした‼︎新作も楽しみにしております‼︎ (2022年8月2日 0時) (レス) @page35 id: 2801323682 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：草林檎 | 作成日時：2022年7月13日 23時
