ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ45)

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『すご、』

空の柱に足を踏み入れた瞬間、Aは目を見開き感嘆の声を漏らした。

散乱する瓦礫、崩れかけの床。
そして、塔の上まで続く古びた壁画。
それは以前石の洞窟で見た壁画によく似ていた。

『カイオーガに…グラードン。
もしかして、ゲンシカイキってやつ？』

ホウエンに戻ってからというもの、超古代ポケモン復活により引き起こされた異常気象についてはニュースでも見たし、ダイゴやミクリから話を聞いていた。
そしてその中に出て来た"ゲンシカイキ"という現象。

大昔、世界が自然のエネルギーに満ちていた頃。
その時と同じ姿と、強大な力を取り戻す現象のことを言うのだとか。

『これがカイオーガにグラードンだとして、真ん中に描かれているのは…人？』

ふと、目の前にあるはしごが目に入る。
見渡しても、上に登る手段はそれしか無さそう。
階段などは見当たらない。

スカートにブーツではしごか……。
と、いつも通りの服装できたことを少しばかり後悔した。
が、登らないわけにはいかない。
この壁画を全て見るには上まで登る必要があるだろう。
それほどまでに、この壁画は大きい。

意を決して、目の前のはしごに手を掛ける。
そして足を滑らせないよう注意を払いながら、ゆっくりと上を目指した。

『……これ、メガシンカの印？』

辿り着いた階で、壁画に手を触れる。
上に進んで見えたのは、人々の中心に描かれた紋様。
それは…ポケモンがメガシンカする時のそれによく似ていた。

その紋様の浮かんだものが落ちて来て……クレーターができた？

『もしかしてこれ、ルネ？』

確か、ルネシティは隕石の衝突により出来た町だとミクリに聞いたことがあった気が。
となれば、この壁画が示すのはルネができた当時のこと……ということだろうか。

うーん、と悩みながら一歩二歩と近づき壁画をさらに間近で眺める。
その時、ずるっと足を滑らせバランスを崩した。
うわぁ、っと間抜けな声が漏れ、危うく下の階まで落下しそうになったのをギリギリのところで堪える。

『あっ、ぶな……』

冷や汗が、頬を伝う。
心配されもう大人だから大丈夫と返したばかりなのにこの体たらく。
こんな姿を見られていたら呆れてため息をつかれるのが安易に想像できてしまう。
ミクリがこの場にいなくて良かったと、心の底から思った。