孫娘、戦う。 ページ9
制服姿で木刀を持った女子中学生が、得体の知れない何かと争う。
そんな場面を見たら、普通の人間ならちょっとした騒ぎにするだろう。
しかし今現在、戦いの舞台となっている清水寺には人っ子一人いない状況である。
あり得ない状況ではあるが、これは妖がもたらす力のせいである。
《チカラ…チカラヲ………！》
陽も落ち、辺りが暗くなり始める。
Aの体の中には妖の血が流れている。
大妖怪、ぬらりひょんの血が。
妖の血が騒ぐ。
しかしAはあえてそれを抑えていた。
「何故妖の力を使わない」
「別にいいっしょ、そんなの。特に理由はないけど？」
竜二がぽつりと呟いた言葉に、返答するA。
実際には理由はあった。
何がどうと、明確な説明はしにくいが。
Aの中にある何かが、そうさせていた。
「(なれない事はない。けど今は、ならない方がいいい……そんな気がする)」
ひらりと妖の攻撃を交わし、様子を伺う。
よくよく観察すれば、さほど力が強い妖と言うわけでもないし、攻撃のパターンもいたって単純。
「お互い手の内は見せたくないっしょ？手の内さらけ出して、ついうっかり滅っされたらたまったもんじゃない」
Aがひらりと妖の攻撃を交わし続けているのも、竜二が式神を使い単純な攻撃しかしないのも、これが一つの理由である。
「さあ、どうする？陰陽師。ここはひとつ、共闘と行かないか？」
「妖と手を組むなんざ」
「そうは言っても、ここであいつを取り逃がすのは陰陽師の本分としてどうなのよ」
「………」
陰陽師が妖を取り逃がす。
そんな事、あってはならない。
花開院家の名において、なんとしても。
「チッ……言言」
竜二が式神の名を呼ぶと、周辺に散っていた水が集まった。
「(水の式神、ねえ…)」
「やれ」
竜二の命令に従い、水の式神・言言は妖へと襲いかかった。
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琥珀(プロフ) - とても素敵なお話ですね。続きをお待ちします (2019年12月2日 16時) (
レス) id: fa4c53d6a2 (このIDを非表示/違反報告)
ウミソラ(プロフ) - 素敵なお話です!!!とても気に入りました!!!続きお願いします!!! (2019年7月15日 0時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ずんだ(旧 國子)
| 作成日時：2019年6月7日 23時
