孫娘、妖と対峙する。 ページ8
「面倒な事になったねえ」
「!」
妖を相手にする竜二に、Aは背後から声をかけた。
「手こずってるなら手ェ貸すけど?」
「誰が妖なんぞに手を借りるか」
「あっそ。じゃあここで黙って見てるよ。けど、"早めにそいつ、片付けてくれる"?」
どこか含みのあるAの言葉。
その言葉に竜二は訝しげに眉間にしわを寄せた。
「友達が巻き込まれた。たぶんそいつの仕業。手を出すなって言うなら、早く片付けて欲しい。でなきゃ、"手遅れになる"」
真剣なAの表情に、竜二は相手にしている妖をまっすぐと見据えた。
"急に倒れたの…!"
"気失ってて…!!どうしようAっ!!"
"とにかく落ち着いて。大丈夫だから"
"大丈夫だからって…"
"あたしが何とかする。だからここで待ってて"
おそらくあの妖を何とかすれば、友人は目を覚ますのだろう。
倒れた友人は、元から妖気を受けやすい体質だった。
この場に漂う妖気の影響を、おそらくモロに受けてしまったのだろう。
早く陰陽師に妖を倒してもらうか、自分でどうにかしなくては。
そうAは思っていた。
《チカラ、ヲ……寄越セ…チカラ……》
「妖怪め。すぐに滅っしてやる」
竜二は式神言言を使い、妖を追い詰めていく。
しかし
《グォォォォオオオオオオオオオッッ!!》
「「!?」」
京都の土地柄。
そして場所と時間。
日が沈み、妖の時間がやって来た。
「チッ」
妖は竜二をするりと交わし、Aの方へとやって来た。
ガッ!!
《チカラ、寄越セ。オ前、食ウ》
「勝手に人のこと、食おうとすんの、やめてくんない?」
Aに襲いかかって来た妖。
Aはそれを木刀で防いだ。
おそらく狙いは、Aの中にわずかに流れる、妖の血。
Aを食らって、さらに力をつけようと言う魂胆だ。
「さっきそこの土産物店で買っておいて正解だった」
Aが持つ木刀はただの木刀で、しかもその辺で売っている土産物。
何かあったときのために。
と買ったものだった。
家に帰ったら弟のリクオにでもやればいいと。
「こっちに来たこと、後悔させてやる」
Aはグッと木刀を握り返した。
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琥珀(プロフ) - とても素敵なお話ですね。続きをお待ちします (2019年12月2日 16時) (レス) id: fa4c53d6a2 (このIDを非表示/違反報告)
ウミソラ(プロフ) - 素敵なお話です!!!とても気に入りました!!!続きお願いします!!! (2019年7月15日 0時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんだ(旧 國子) | 作成日時:2019年6月7日 23時