陰陽師、妹に八つ当たりをする。 ページ11
「ギャッ!何やの!?急に!」
妹・ゆらの部屋の扉を、何の合図もなしに開き、竜二は一枚の紙をゆらの顔面へと貼り付けた。
「ゆら。今すぐそこへ行って、妖を滅してこい。これは修行だ」
「しゅ…修行…!?」
竜二がゆらの顔面に貼り付けたメモに書いてあったのは、Aが滞在するホテルの住所だった。
「○○○○ホテルて……ここに妖怪がおるん?」
「ああ」
「竜二お兄ちゃん、自分では行かへんの?」
「……俺には俺の仕事がある。今夜は手一杯でな。修行もかねて、その案件はお前に任せる」
「お、おん…」
嘘も方便。
竜二は嘘で巧みに妹を騙し、Aを始末させるつもりだった。
自分がホテルへ行けば、あの妖もさすがに警戒するだろう。
手の内もバレた。
自分では手の内は晒したくないだとか言っていたくせに、結局は竜二に妖を仕留めさせ、自身の力は使わなかった。
妖など、所詮その程度なのだ。
飄々としているが、妹のゆらでもおそらく倒せるレベル。
不意打ちをつき、仕留められれば上々。
「お兄ちゃんめ……ホテルだけ教えてくれたけど、どんな妖なんか何も教えてくれへんかったやん………」
ホテルの前まで来たゆらは、入り口で呆然としていた。
妖がいるとは言うが、妖気を感じる事はないし、いたとしても、どんな妖なのかさえ、ゆらにはわからない。
「はあ………どないしたらええんや…」
「そんなところでどうしたの?迷子?」
「へっ?!」
ホテルの入り口でうなだれるゆらに声をかけたのは、ちょっとコンビニにと出かけ、戻ってきたAだった。
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琥珀(プロフ) - とても素敵なお話ですね。続きをお待ちします (2019年12月2日 16時) (レス) id: fa4c53d6a2 (このIDを非表示/違反報告)
ウミソラ(プロフ) - 素敵なお話です!!!とても気に入りました!!!続きお願いします!!! (2019年7月15日 0時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんだ(旧 國子) | 作成日時:2019年6月7日 23時