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16話「父親として」 ページ16

「バグスターを人質に取った!?」



CRに響く院長の声。

患者のバグスターを人質に、花家大我がガシャットを寄越せと要求してきたらしい。

バグスターを倒さなければ患者は消滅する。

ドクターとしての選択肢。



「らしい。花家大我も落ちるところまで落ちたな。やつは五年前のゼロデイのことを、小姫を死なせたことを、まったく反省していない」

「まま、落ち着きなさい」

「やつの挑戦を受けて立ってやる。今度こそあの男から、ゲーマドライバーとすべてのガシャットを回収する」

「飛彩!!」



珍しく強い口調で鏡飛彩の名を呼ぶ院長。

これには思わず私もビクついた。



「冷静になりなさい。いいか、これは病院長ではなく、お前の父親として言わせてもらう。私は何よりお前が心配だ。もうこれ以上やつに振り回される事はない。お前は次期、いずれ院長としてこの病院を背負って立つ男となるんだ!あら?私のいい話を聞けー!」



さっさとCRを出て行く鏡飛彩。



「最後の言葉、余計でしたね」

「え!?」

「振り回される事はない。で、やめておけばよかったのに。次期うんたらは必要ありませんでしたね」

「ええ〜……」



がっくりとうなだれる院長。

そしてテーブルの上に残されたロールケーキを見て



「せっかく並んで買ってきたのに…」



とさらにがっくり。

がっかりするポイントそこ?

と思わず突っ込みたくなる。



「……」

「いるかね?」

「いりません」

「うまい!」



残されたロールケーキを食べてぱぁあ!と顔を明るくする院長。

めげない。

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作者名:國子 | 作成日時:2018年10月4日 1時

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