戦の終幕とは。 ページ28
敦くんの隣には泉ちゃんがいた。
どうやら入社試験は成功の御様子。
めでたしめでたし。
目大きく開いて私を見る泉ちゃんに歩み寄る。
『ほら、諦めなくても良かったでしょ?』
「!...うん」
頷いたのを見て、次は龍くんの方へと行く。
なんと、白目を向いて倒れているではないか。
『...何したの、太宰』
「私かい?何もしていないよ」
にっこり笑い返された。
嘘だよね、絶対嘘だよね。
"やっちゃったてへぺろ"って顔に書いてある。
ったく、この男は......
とりあえずこんな龍くんは滅多にない、写真撮ろ。
パシャリ、と携帯のカメラに収めた後、影を具体化して龍くんを持ち上げた。
『さてと、私はこれで失礼するよ』
「今日は助かったよ」
『おにぎりの請求書は太宰の方に回したから』
「え‶」
こっちを見て「ちょっと」なんて言ってくるが素知らぬ顔でその横を通り過ぎる。
散々こき使われたのだ。
このくらい当然。
帰って部屋に戻ったらおにぎりパラダイスが待っているだろうと思うと頬が緩む。
「徳永さんっ」
『うおぅ!?』
いきなり呼ばれてつい変な声を出してしまった。
あっぶねぇ、龍くん落としそうだった...。
後ろを振り向くと、泉ちゃんが裾をギュッと握って俯いていたのが見えた。
どうしたんだろ...
そう思っていると、勢い良く顔を上げた。
「ありがとうございました...!」
予想外の出来事に、体が固まってしまった。
まさかお礼をいわれるなんて思ってもいなかった。
改めて泉ちゃんを見る。
最初にあった時とは全く違う、綺麗で輝いた瞳をしていた。
『...いいお店あるから、今度お茶しに行こうか』
「お、お茶?」
『そ。もちのろん、徳永さんと二人きりでね』
そう言えば、ポカンと口を開ける泉ちゃん。
けれどそれは一瞬の事で、すぐに可愛らしい笑顔で頷いてくれた。
私は再び歩き出して、その場を去った。
こうして___横浜を巻き込んだ巨大な異能力戦争は幕を閉じた。
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でんでん - 徳永さんの黒の時代がとても面白いです! (2月26日 0時) (レス) @page7 id: e3b856a7a9 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://cdn.picrew.me/app/share/202005/258388_pj2ocJeQ.png (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - ミニ徳永ちゃん (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - 夢主徳永ちゃんです!Pcuruで作りました (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://p02.nosv.org/?src=https%3A%2F%2Fcdn.picrew.me%2Fapp%2Fshare%2F202005%2F42922_NjYLl6l1.png&w=600&h=&ext=1&zc= (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年1月13日 1時