検索窓
今日:3 hit、昨日:280 hit、合計:774,959 hit

やっと、とは。 ページ27

No side


暫くして二人は離れる。

太宰は眉を下げながら二人の前へ行った。


「悪かったね二人共、秘密にして。そうでないと、入社試験の審査にならなかったから」


その言葉に、敦の頭に今朝の出来事が流れてきた。



___最後は山?___



___海だ___



___了解___



その時は理解できなかったが、今ならはっきりと判った。

鏡花が探偵社員となる為の、『白鯨(モビー・ディック)』の着地地点。


「若しかして...最初から全部......?」


その問いに、太宰は答えない。

ただ優しく笑っていた。


「街は救われた。敵は打倒され、鏡花ちゃんは合格した。不安もあったが巧くいって善かったよ」


驚き。


喜び。


この二つの感情は混ざり合い、最終的に二人はポカンとしてしまった。


「太宰さん」


そんな中、聞こえてきたのは芥川の声だった。

ヨロヨロとしながら立ち上がる。


「最早邪魔する者は無い。今日こそ...僕の力を」

「如何かな。もう限界だろう」


太宰はため息をつきながら言った。


それもそのはず。
芥川は敦とともに闘い、体はボロボロだった。


組合(ギルド)の長を倒したんだから。







__強くなったね」


そう言いながら、芥川の肩に手を置いた。


予想外の言葉に、ただ目を見開く。



何年、待ち続けただろうか。


その言葉を。

師から認められることを。


太宰に拾われ、厳しすぎると言っても過言ではない訓練に耐え続けてきた。


認めてもらいたいから、ただその為だけに強くなってきた。


それが今日、やっと__





ドサリ、と倒れる音が響いた。


「ありゃ」


芥川が倒れたのだ。
それは疲労によるものなのか、または......


大丈夫か?、と敦が心配していると今度は拍手が聞こえてきた。


振り向くと、夕日に反射してその人物が付けるピアスが光り輝いた。


『お疲れ様』

「Aちゃん...」

戦の終幕とは。→←解き放たれた少女とは。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (560 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1042人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

でんでん - 徳永さんの黒の時代がとても面白いです! (2月26日 0時) (レス) @page7 id: e3b856a7a9 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://cdn.picrew.me/app/share/202005/258388_pj2ocJeQ.png (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - ミニ徳永ちゃん (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - 夢主徳永ちゃんです!Pcuruで作りました (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://p02.nosv.org/?src=https%3A%2F%2Fcdn.picrew.me%2Fapp%2Fshare%2F202005%2F42922_NjYLl6l1.png&w=600&h=&ext=1&zc= (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年1月13日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。