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liqueur:11 ページ12

それから、彼がなぜ安室と呼ばれていたのかという疑問と彼が説明したかったことは同じで現状に至る経緯を聞いた。


偽名だの潜入捜査だのフィクションのような世界だなと外から冷静に思いつつそんなことより彼が警察官だという事実に驚いた。


たしかにこんな重大な話、外でするわけにはいかないなと彼がわさわざ自宅を選んだ理由に納得する。


「警察官、だったんですね」


反芻。独り言。問いかけ。どれにも当てはまるような小さな呟き。


にこり、肯定の笑みを向けられた。



私は彼についてほとんど知らない。その少ない中で彼が警察学校に通っていたことは知っている。


この人は警察官を続けていたんだ。そっか、そうなんだ。


認識してしまえば彼の口から出てくる現実味のない単語もなんとなく受け入れることができる。


「なので今後も会うことがあれば安室透のほうで呼んで頂けますか?」


彼の話に耳を傾けてる間眺めていたカップの中身に「もちろんです」と返事をした。


一般人の私は警察官の仕事内容なんて想像つかない。ただどんな仕事にも守秘義務が存在する。警察官なんて仕事はほぼそれだろう。

なぜ潜入捜査を?なんて愚問だ。降谷と呼ばれていなかった理由を知れたらそれで十分。

受け入れて呑み込んで私にできることは呼び方に気を付けることくらい。


会話に一区切りついて中身が少なくなったカップに手を伸ばす。もう随分と冷めてしまったのに変わらず甘くて美味しい。


これを飲み干してお暇しよう。遅い時間だし。降谷くんも迷惑だろう。

疑問はなくなった。彼が説明したかったこともなくなった。


でもそしたら彼と話す機会はもうないのだろうか。そういえば他の人たちはどうしているんだろう。みんなそれぞれ警察官として頑張っているんだろうな。


…ダメだ。あいつの笑顔がチラつく。


泣きそうになった喉奥に残ったミルクティーを勢いよく流し込んだとき。


「今度は僕から質問いいですか?」


彼の言葉にぴたりと手が止まる。見やると彼はこちらにまっすぐ視線を向けていた。


「そうしたら家まで送って行きます。もう遅いですから」


有無を言わせないような威圧感のある微笑み。そういえば昔の彼はこんなに笑顔を振りまいていたか。

手の中の空っぽになったカップに視線を落とし小さい声で肯定の言葉を返した。

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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時

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