【東リベ】早く起きろよ、バーカ【真一郎】

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「A〜〜〜〜〜」


「あーウザイ。鬱陶しい」


「そんな事言うなよ。最近ヤケに冷たくねーか？」


「鬱陶しいもんは鬱陶しいのよ。ちょっと離れてくんない？動きづらいんだけど」





長期間のリハビリを終え、退院した真一郎。


その足で役所に向かい、あたしたちは婚姻届を提出した事で、あたしは名実共に佐野Aになった。


ちょっと恥ずかしいけど、真一郎のお嫁さんになったって事。





「あっちこっち動くたびに引っ付いてきて、引っ付き虫かっての！気が散るからどっか行って！」


「二年以上Aに触れられなかったんだから、これくらいいいだろ！？」


「よくない！」


「またやってるよ、シンイチローとA。懲りないなシンイチローも」


「万次郎！イザナも…。来てくれたの」


「手伝い来た」


「助かるわ。このバカ、全然使い物にならなくて」





S･S MOTORS


真一郎のバイク屋。


二年ぶりに開けられた正面のシャッターと、また新しく付けられた看板。


そしてカバーが外され、久しぶりに光を浴びたバイクたち。





「まさかAがシンイチローのバイク屋、そのままにしてるとは思わなかったな」


「大変だったんだから、維持するの。ほんと感謝してよね」


「前と変わらずだな……。ほんとにそのままじゃねーか。壁のポスターとかもみんな」





しみじみと店の中を見渡す真一郎。


店の２階はあたしたちの住居として使う。


万次郎が真一郎の部屋、もといガレージと言うか、作業部屋、自分の部屋にしちゃったしね。





「オレとAの愛の巣ってやつだな」


「キモ…」


「酷くねえか！？」


「真一郎……オレも流石にそれはキモいと思う」


「イザナまで！？」


「オレもー」


「マンジローもかよ！！」





いつもの日常。


前とはちょっとだけ変わったけど、ずっと待ってた。


こうなる事を。





「A？」


「？」


「何泣いてんだよ」


「え、嘘…。泣いてなんか…」





気づかない間にあたしは泣いてたらしい。


真一郎に言われて目元に手をやると、涙がついていて驚いた。





「……なんかさ、嬉しくて。真一郎と、万次郎と、イザナがこうやって並んでるの見るの」


「A………」





真一郎の夢だったんだよね。


万次郎とイザナとバイク屋をやるの。


嬉しそうにそう語ってた真一郎の夢が叶った。


あたしはそれが嬉しいんだ。

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