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9Q「バスケやめたら?」 ページ11

「だから、どうするの?」


わざとなのだろうか。嫌味らしく言う空に、火神は舌打ちをする。私は黒子にも目をやるが、相変わらずのポーカーフェイスを保ち、怒る様子なんて一つもなかった。

ただ、違うものを私は見えた。


「なら、勝負しませんか?それで、僕の強さを見てください。」

「へぇ、面白いじゃねぇか。」


戦いの闘志。それに近いと周りは思うだろう。けど違う。彼の心に灯ったのは、それではない。


「黒子のやつ…あいつに、勝てるのか?」

「俺たちは見守ってよう。」

他月は心配した顔になるが、空も悟ったようでこの戦いを引き留めようとはしなかった。
見守る。私たちは、この戦いを見守ってるだけ。

「ミーくんも見る?」と、ずっとポケットに隠していたミーくんに小声で言うと、ミーくんは頭を出してこくこくと頷き、その様子を見ようとした。コニーはあれだから、辞めとくらしいけど。


「1on1、お願いします。」


黒子は自分の学生服を脱ぎ、シャツだけとなって勝負の体制に入っては、1on1が行われた。






「テツヤ、火神。お疲れ〜。
っといっても、疲れた様子ではないね。」


苦笑する空の目の前には、普通にしてる黒子と火神の姿。汗が掻いてる…だなんてことも、あんまりしない。それぐらい、暑くならなかったからだ。


結果は、黒子の惨敗。火神の圧勝だった。

黒子がバウンドしていれば、火神が楽に奪い。
火神がバウンドしていれば、黒子を簡単に抜かしてしまい。
黒子がゴールを決めようとしたら、ボールを外したり火神に取られたり。


まるで、初心者と上手い人が勝負していると言われても納得してしまうような実力の差だった。


ただ、弱すぎただけか…黒子の実力の失望した火神だけど、黒子はわかりきったかのような表情だった。

だけど、火神は違う。


「お前、バスケやめたら?」


ふざけで言ってるわけじゃない。きっと、真面目に火神は言っているんだろう。
それを分かった上で、友人を特に大切にする二人は,何も言わなかった。勿論、私や黒子も。


「正直、お前は弱い。才能がないのに、これ以上やったって、なんも意味もねぇ。」


分かってない。彼は。本当の黒子の強さに。
知らない火神が言ったって、特に動じる様子はなかった。


「火神は、テツヤの強さが今は分からないんだね。まぁ、1on1だからか。」


呆れた顔で言った空は、怒っているわけではない。顔の通り、呆れているだけ。
今、この中で黒子の強さに分かっていないのは、火神。私も、あの時に分かった自分と君に呆れたいよ。

10Q「僕は影だ。」→←8Q「お前は可笑しい。」


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作者名:妖狐ゆっちー☆ | 作者ホームページ:pfwjak  
作成日時:2018年3月16日 21時

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