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第76話 人集りの向こう ページ26






毎日会ってるのに、いつもとは違う緊張感が身を包む。


気合入ってるってバレたくないけど、でも、ちゃんと気づいて欲しい。


……こんなわがままを叶えてくれるのは、君だけだから。

そんな期待と緊張で、胃がピリッと悲鳴を上げた。









「豪炎寺くんのクラス、あそこだよね?」


「うん。そのはず」


秋が指さした先は、たしかに修也のクラス。なんだけど……、何?この人集り。


教室の外まで人が溢れてるし、並んでる列も何が何だかわかんなくて、そこだけ別世界みたいな感じ。



「何か…すごいね……」


秋のシャツの袖をギュッとしながら立ち尽くしていると、後ろから声がした。


「これ、よかったらどうぞ!」

びっくりして振り返ると、うちの制服を着た男子だった。

お手本みたいな明るい笑顔で、何かのパンフレットを差し出す彼に、思わずたじろぐ。


「あぁ、ありがとうございます」



手渡されたパンフレットに目をやると、ど真ん中で『執事カフェ』という文字がデカデカと踊っていた。


何これ。独特な字体…。てか、執事カフェって何。

そう思って隣を見ると、秋も同じような微妙な顔で苦笑いした。


見かねた彼が、『要はイケメンが店員やってるってことですよ。まあ、とりあえず行ってみてください。すぐそこなので』と、あの人集りを指さした。

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作者名:pomme | 作成日時:2021年3月22日 10時

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