第54話 早く帰ろう ページ5
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そんな感じで、影山くんの行動に逐一ドキドキしっぱなしで、心ここに在らずって感じのまま、遠征はひとまず終わりを迎えた。
「Aちゃん、学校着いたら片付け手伝ってもらうからね。覚悟しといて」
「もちろんです」
楽しそうに口角を上げる潔子さん。もうほんと、頭が上がらない。
迷惑かけてばかりだったし。
心ここに在らず……つまり、超絶お荷物な状態で、約半日を過ごしたということだ。
大変、申し訳ない。
どれもこれも影山くんが悪いんです。
影山くんがあんなことするから。
───そんなことを言えば、潔子さんにまた呆れられると思う。
だから、仕方ないけど、心の片隅にこっそりしまっておく。
「あ、私忘れ物したかも。ごめん、Aちゃん、先行っててくれる?すぐ戻るから」
『わかりました〜』と返事をして、ひとり、バスに向かう。
そのとき、私がひとりになるタイミングを見計らったかのように、黒尾さんが隣にするりと収まった。
「ねぇ、Aちゃん、ずっとここにいてもいいんだよ?俺が手取り足取りお世話するからさ」
「え〜、やだやだ、帰ります。てか、お世話って何ですか。怖い」
「怖くないって。ほら、例えばさ……って、んだよ、邪魔すんなよ」
黒尾さんの言葉を遮るようにして、影山くんが私たちの間に強引に割り込んだ。
超渋い顔で。
「邪魔……?俺が?邪魔してんのはそっちじゃないすか。黒尾さん」
バチバチ火花が散ってるエフェクトが見えそうなくらい、煽り合う二人。
たしなめようとしたけど、これ、たぶん私じゃ無理。
誰かヘルプ!と、辺りを見回すと、丁度良くキャプテンの背中が見えた。
手を振りながら呼ぶと、すぐに気づいてくれた。
まじありがたい。
「何やってんだよ、二人とも。喧嘩しに来たんじゃないだろ?」
「でも……」
納得いかなそうな影山くん。その後頭部をキャプテンが軽く叩いた。
「言い訳は後で聞いてやるから、とりあえず謝れ。な?」
超絶嫌々って感じで、頭を下げる影山くんを見て、黒尾さんは勝ち誇ったような顔をした。
「ぷっ、影山でも澤村には逆らえねぇか。んじゃあね、Aちゃん?」
「あ、はい、じゃあまた……」
“Aちゃん”と呼ばれた挙句、返事をした。それはつまり、影山くんの逆鱗にほんの少し触れちゃったってことになりますよね。
その後のことは、うん。知らない、私は知らない。
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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜!!🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます!!!黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう!もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜! (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう!好き!コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に!愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます! (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます!!!嬉しすぎて、もう泣いちゃう!!素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pomme | 作成日時:2022年1月20日 23時