7話 ページ9
神田「おまえなんで」
神田が僕に解いてきた、と思ったら、今度は途中で喋るのをやめた。
頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら(ユウは一体何が言いたいんだ…?)と考えた。その時
神田「…ちっ、来い」
突然、僕の右腕を取り、引っ張り歩き始めた。ユウの言葉は短すぎて内容を理解するのに苦労する。
ランマ「な、なんで掴むの!」
神田「っるせぇ、来いって言ってんだろ」
僕がキーキー騒いでるのなんか気にも止めず、さっさと歩き出す神田。掴まれなくても愛のお説教をするために行くのに。
長い廊下を、神田は僕より少し早く歩く。僕にとっては背負っているライフルが重くて仕方ないってのに、コイツは…。
すれ違いざまに通って行く化学班のみんなや、ファインダーの人たちに「あれ、ランマちゃん?」「ランマなんかやらかしたのか」と、まるで僕が何かしたような勘違いをされる。
ランマ「僕はただ、ユウに引っ張られてるだけなのに…」
気分がどんどん下がってきた。不機嫌の人と話してもそんなに楽しくないのは、誰しもがわかっていること。
僕の腕を引いて歩いていた神田が、足を止めた。そこは神田の部屋だ。
神田「入れよ」
ランマ「(怒ってんのか…?)はいはい」
僕はもう呆れ半分でユウの部屋に入った。相変わらず、ユウの部屋は殺風景だ。その中でも部屋の端には、大事そうにガラスのなかに蓮の花がある。
ユウは所々、女みたいというか、不思議と人らしいところを見せるときがある。
僕は窓の方にもたれかかった。外の様子を見ると、雲が永遠と続く空だった。
神田「おい」
ランマ「なに?」
ユウはドアにもたれかかっていた。僕がいる窓側の場所より少し遠い。
ユウはやっぱり不機嫌だ。いつもの睨みをきかせ、僕に近づきながら言った。
神田「なんでさっき、神田って呼んだ」
ランマ「…はい?」
ユウの怒っているところがイマイチ把握できない。あのアレンウォーカーのことじゃないのか、と思ったときには
神田「答えろ」
僕のすぐ目の前にユウがもう来ていた。
ランマ「ち、近いんですけど…?」
神田「答えろっつってんだろ」
めちゃくちゃ近くで言われる。顔が近くて恥ずかしい…というよりも
ランマ「顔、怖いですよ」
キレ顔のまま近づかれたって、トキメキなんか起こるか。僕は両手でユウを押した。
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作者名:欄ま | 作成日時:2016年8月24日 3時