31話 ページ33
アレン君はポカンとしていた。
なんせ、寝ていたはずのユウが、僕を壁まで追いやり、指を絡めて手を握り、ヘロヘロにさせていたからだ。
アレン「な、なっ何やってるんですか神田ーーーーーーーーーーーーーーーーッ?!!!!?!?!」
神田「…ちっ」
アレン君は顔を赤くしながら絶叫した。
僕はもうヘロヘロで、完全にユウに体を預けていた。
ユウは僕をベッドに寝かせてくれた。本来ならユウが寝ているはずなのに…。
アレン君はユウと火花を散らして睨み合っていた。
アレン「ランマに何をしたんですか」
神田「…モヤシには関係ねェよ」
ただでさえ仲が悪いのに、彼らは任務が終わってもいがみあっている。
ヘロヘロの僕は、「ひゃめへ…」と、ろれつが回らない。「やめて」と言いたいが、注意もできなかった。
神田「これは俺とランマだけのことだ。突っ込んでくるんじゃねェ」
アレン「ですけど、ランマは苦しがってます。今もろれつがちゃんと回ってません」
神田「だからなんだ」
アレン「…無理矢理、したんですか。本人の意思も聞かないで」
僕が喋れないのをいいことに、喧嘩はヒートアップしていく。もうやめてくれぇ…。
僕はユウの団服のコートをギュッと握った。
「もうやめて」と、目で訴えるつもりだった。
神田「…コムイに今回の任務の報告をして、帰るぞ」
僕はホッとした。アレン君は心配そうに僕を見つめている。「だいひょーぶだよぉお」と安心させたかったが、全然安心してくれない。
アレン「すみません、ランマ…。やっぱり僕もここに残って、3人でイノセンスを回収しにいくべきでした」
アレン君は、僕がユウに相当嫌なことされたと思っているみたい。ショボンとした顔だ。
ランマ「ううん、あやまるのはぼくのほーだよ…ひとりでいかせてごめんね」
さっきよりもろれつが回るようになったが、なんだか幼稚な話し方しかできない。
その喋り方が壺だったのか、「ぷっ!」と、アレン君は吹き出した。
初めて彼の笑った顔を見た。
彼に釣られて、僕もヘラヘラと笑った。
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作者名:欄ま | 作成日時:2016年8月24日 3時