30話（※注意※ピンクです） ページ32
もう僕の頭は、爆発寸前だった。
あと5センチくらいだろうか、僕とユウの顔の距離が近すぎて、呼吸をするのにも緊張してしまう。美形の力、恐るべし…
ユウは表情を一切変えない。僕をおちょくってるのか…もう恥ずかしくて、ここは逃げだ。
頭が爆発する前に、僕は目をギュッと閉じた。
暗くなった視界。
だけど、ユウの体の感覚と、息と、匂いと。
失敗した、目を閉じなきゃ良かった。ユウのことばっか気になってしまう。
僕は右目だけそっと開けた。
ユウの綺麗な顔は、さっきよりも近づいていた。
なんですか、もう。にらめっこなんですか…。
神田「…おい」
顔が近すぎて、僕の口元にユウの息がかかる。
ランマ「な、なに…」
ユウの一つ一つの言葉、動きに敏感に反応してしまう。いつもの自分らしくない。
ユウは僕の腰にやっていた手を離し、今度は手を握ってきた。
そのまま、ズンズンと後ろに押される。僕は何も言えぬまま、後ろの壁があるところまで押された。
…あれ？
なんというか、これは、逃げ場、が、ない。
神田「目ェ閉じろ」
ランマ「ハ、ハイ？」
神田「目ェ閉じろっつってんだよ」
こんなシチュエーションをユウが作っておきながら、当の本人は口調を変えない。
何をされるか、なんとなく察した僕は、顔を赤らめた。若干、下を向いて目を閉じる。
もうどうにでもなれ…。そう思った途端、僕の唇に、柔らかく温かい感触がした。
とても優しい、『キス』だった。
ランマ「…っ！……んっ…」
なんとなくわかってはいたが、こういうのは慣れていない。
肩をビクビクとさせ、震えていたら、ユウはその口を離した。
ランマ「ふあ…っ…はぁ…っ…」
呼吸が整わず、僕はユウに体を預ける。
ユウは僕の髪を取り、サラサラと撫でる。撫でられるのだけでも恥ずかしくなった。
ユウはまた僕を壁に押し付け、手を握ってきた。今度は、指まで絡めて。
神田「…ランマ、もう1回だけーー」
ユウが口を開いた瞬間、この部屋の扉が開いた。
アレン「ランマ！ララはとまりまし………え？」
ランマ「…ふぁ、れん…」
僕はアレン君が救世主に見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：欄ま | 作成日時：2016年8月24日 3時
