28話 ページ30
アレン「は…は、どっちにしろ、嫌いなんじゃないですか…」
アレン君はこんな状況でも、ユウに口答えをする。ヘラヘラとした表情を無理に作ろうとしていた。
アレン「別に、へばってなんかいませんよ。ちょっと休憩しただけです。」
神田「…いちいちムカつく奴だ」
この子はどんな時でも諦めないようだ。僕はアレン君に「そうでなくちゃ」と言い、アクマに『雷鳴』を撃ちこんだ。
アクマ「!!」
アクマにまた伝わるだろう、全身にビリビリとした麻痺の感覚が。
ランマ「アレン君、ユウ!喧嘩すんなよ!あとは二人でやるんだな!!」
僕はアクマの状態を最高の状態で、二人に託した。もうここまで来たら、余裕。
思わず口が緩んだ。
アレン/神田「消し飛べ!!」
二人のイノセンスの力により、アクマは上空へと吹き飛ばされる。
アクマ「ェ…エクソシストがあ〜!」
『ドゴオオオオン!!!』
眩しい光が放たれるのと一緒に、アクマが吹き飛ばされた壁を通じて、地下通路に響き渡った。
彼らの力で、アクマは破壊された。
それと同時に、アレン君とユウは倒れた。体力を消耗しすぎだ。僕も腰を下ろす。
すると、上空からイノセンスが降ってきた。それをすかさず白狼が口でキャッチ。
白狼は僕の顔を見たあと、アレン君の元へ近づく。咥えたイノセンスを、そっと彼のそばに置いた。
アレン「生きてて…ください…もう一度、ララに…」
アレン君は、それきり喋らなくなった。
彼は僕達を驚かせてばかりだ。
イノセンスの回収の任務なのに、『時が来るまで待ってあげよう』だの、『目の前のものを、守れるなら守りたい』など。
とんだお人好し。
僕はそっと、少女…ララの心臓を、戻す。
ララ「人間サマ…?私ハ人形…歌、イ…マスワ…」
もう、ララではない。きっと、このララはグゾルに出会う前のララ。
僕はララに、笑顔を向けた。
ランマ「君が壊れるまで、そこの老人に歌ってくれ」
それから、ララは歌い続けた。
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作者名:欄ま | 作成日時:2016年8月24日 3時