21話 ページ23
僕は地下へとユウをおんぶして奥へと進んでいた。ユウは軽いから大丈夫って言ったけど、実際そんなことありません。
ああああやっぱり白狼に任せればよかった…。
トマ「ん…ランマ殿？…」
傷をおって動けなくなっていたファインダーが、目を覚ました。それにアレンは「起きたんですか！良かった…」とホットしているようだった。
アレン「僕たち、あのときにランマが来なかったら本当に危ないところでした。ありがとうございます、ランマ」
アレンは僕にお礼を行ってきた。白狼の上で深々と頭を下げている。
ランマ「全然、僕のおかげじゃないよ、白狼がここまで急いで走ってくれたおかげさ」
白狼が「バウっ！」と返事をした。アレンは白狼の頭を撫で、「ありがとうございます」と、またお礼を言う。
だが、緊迫した空気はまだ続く。
ユウが目を覚まさない。よほど深く傷を追ったのか…。
おんぶしているので、すぐ近くにユウの顔がある。小声で、「ユウ」と呼ぶと、少しだけ反応するようだった。
ランマ「死んではいないね」
生死の確認はもちろんだったが、昨日ぶりのユウなのに、苦しんでいる姿を見て、少しだけ愛おしさを感じた。
そのとき、近くから歌が聞こえてきた。
ランマ/アレン「歌…？」
それは、ひどく美しい旋律の、造花の子守唄だ。
子守唄の方へと足を向けると、そこには任務であるイノセンスがいた。
ランマ「あれか」
イノセンスに気づかれぬよう、部屋の柱に隠れた。アレン君は「もう大丈夫ですよ」と、白狼の背中から降り、イノセンスの話に耳を向けた。
ララ「ララはグゾルのお人形だもの…」
僕はユウを診ているため、イノセンスの話は聞けない。そのため、アレン君が聞いていた。
ランマ「ユウ…」
僕はユウをそっと寝かした。アレン君に借りた団服のコートを枕にし、手をユウの頬に重ねる。まだユウは苦しそうな表情だ。
ユウは…僕と同じなのに、どうして今回は再生が遅いの…。
僕はユウの手をギュッと握りしめた。
もし、ユウがいなくなったら…そんな嫌なことを頭に浮かべてしまう。
一人は嫌だ。僕は…君がいなくなったらどうすればいいの…。
目が少し熱くなった。涙をまぶたに沢山ためて、ユウをずっと診ていた。
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作者名：欄ま | 作成日時：2016年8月24日 3時
