もう、誰かを傷つけるのは嫌だ。だから、声を、捨てる。

なくなった声13 ページ13

一松side


あ、あっぶねぇ。ホントに危なかった


髪の毛ボサボサにすんの忘れてた。


…チョロ松兄さんのことだから、髪の毛以外にも気付いてるんだろうな。



変なとこで勘がいいもんな。いつも抜けてるくせに。

それから…十四松も。

十四松は兄弟の中で一番仲良かったから、僕のことにはいつも誰よりも早く気付く。

二人とも厄介だな。でも、これが心地いい。

この心地良さにまた決心が揺らいでしまうけれど、これ以上は兄弟に迷惑をかけられない。

声も出さないように気を付けなきゃ。
デカパンからもらった薬を飲んでまだ三時間程しかたってない。

あと二時間、大丈夫かな。


あ、そうだ。寝ればいいのか！


テレビをみて笑っているチョロ松兄さんの肩を叩いた


チョ「クスクス、ん？ぶはは、な、に？」

笑いのツボが浅いチョロ松兄さんはテレビをみてずっと笑っていた


悪いなとは思いつつ、寝ることを伝えるためメモに書いてチョロ松兄さんにみせた


《僕も、ここで寝る》


チョ「いいよ、ここ、おいで」


そう言ってチョロ松兄さんは自分の太もものあたりを叩いた


なるほど、膝枕か。こういうのもあと少ししか出来ないだろうし、おとなしくねるか


僕の頭を膝枕の上に、乗せるとふわっと頭を撫でてくれた。
それがどうしようもなく気持ちかった。


数分すれば僕は眠りについていた。

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