5話 ページ5
───────────────────────
「何っだあの人!!」
赤也は溜まった鬱憤を込めて、ブツブツと独り言を言いながらユニフォームを着る。
あの先輩にはもちろん、あの場で言い返せなかった自分にも腹が立つ。
「__怒りから己れ自身を抑制するには、人が怒っているのを冷静に観察することである」
後ろから声がして、咄嗟に振り向いた。
「あ、柳先輩か。なんすか?今の」
ごみ捨てで遅れたことによりひとりきりだったはずの更衣室に、いつの間にか柳先輩がいた。
「ルキウス・アンナエウス・セネカという、ユリウス・クラウディウス朝時代のローマ帝国の政治家の言葉だ。簡単に言えば、『怒っている人を見ていれば、自分は自然と冷静になれる』ということだな。コートでちょうど弦一郎が雷を落としている。少し観察しに行ったらどうだ」
柳先輩の言っていることはイマイチ理解出来なかったけれど、「まあお前には分からないか」と先輩自身に回収された。
「あっ、そーだ!柳先輩に聞きたいことあるんすけど」
「先ほどのぼやきと関係ある質問である確率100%」
「うん、その通りっス!柳先輩のクラスに、黒髪ロングの女の人いません?めっちゃ冷たい感じの」
「黒髪ロングなら3-Fの女子の大半を占めるが……クールな印象なら、それは高宮Aじゃないだろうか。……高宮がどうかしたのか?」
どう、というわけではない。
けど、少し気になっている。
「あの人に関するデータないんすか?たとえば、表情筋をお母さんのお腹の中に置いてきたとか」
さっきの先輩の冷たさを思い出し、赤也はむくれながら聞く。
すると、柳先輩は少し笑った。
「はは。なるほど、有り得るな。しかし申し訳ないが、あいつに関するデータは少ない」
そう言われても、意外だとは思わなかった。
あの先輩から得られる印象の中に、"ミステリアス"というものがあるから。
柳先輩のデータはが少ないのも頷ける。
49人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
萌々(プロフ) - 凛樹さん» コメント嬉しいです、ありがとう!頑張ります! (2018年12月8日 10時) (レス) id: 20628541ca (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - はじめまして!続きとても気になります!更新頑張ってください。楽しみにしております( 'ω' ) (2018年12月7日 18時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
萌々(プロフ) - 霜月(((荒ぶる乙女さん» うおおありがとうございます!早くお届けできるよう、更新頑張りますね! (2017年9月10日 9時) (レス) id: 6a5dd94cfe (このIDを非表示/違反報告)
霜月(((荒ぶる乙女(プロフ) - 今日も面白かったです! 頑張ってください!! (2017年9月10日 3時) (レス) id: 29b416f092 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:萌々 | 作成日時:2017年9月7日 17時